top of page
Tomizo Jinno

二極化する映像制作業〜動画は映像のセカンドブランド?

昔からある映像制作会社に働く人たちは、「動画制作」を異なる事業として捉えていますが、言うまでもなく「映像制作業」「動画制作業」は実質的には同じ仕事です。しかし従来の映像制作事業者は、動画制作事業をレベルが異なるものとみる傾向があります。

では「動画制作」は「映像制作」のセカンドブランドなのでしょうか?


ビデオフィルムカメラ



映像制作会社から見た動画制作市場


1. 市場の急速な変化


  • 技術の進歩: デジタルカメラや編集ソフトの進化により、映像制作が容易になりました。これにより、個人でも高品質な動画を制作できるようになり、映像制作市場が拡大しました。プロダクションスタッフは、この技術の進歩に対する適応が必要となります。


  • 低予算プロジェクトの増加: 昔は高コストだった映像制作が、デジタル化によりコストダウンし、低予算での制作が可能となりました。これにより、低予算のプロジェクトが増加し、プロダクションの収益モデルに影響を与えています。


2. 競争の激化


  • 新規参入者の増加: YouTubeやTikTokなどのプラットフォームの普及により、個人や小規模チームがプロダクション業界に参入しやすくなりました。これにより、競争が激化し、従来のプロダクションにとっては厳しい状況となっています。


  • クライアントの選択肢の増加: クライアントは多様な選択肢を持つようになり、価格競争が激化しています。従来のプロダクションは、高品質な作品を提供するだけでなく、コスト効率や迅速な対応も求められるようになっています。


3. 変化への適応


  • デジタル化への対応: 昔からのプロダクションは、デジタルツールや新しい制作技術に適応する必要があります。これは、新しいスキルの習得や設備投資を意味します。


  • 新しいビジネスモデルの模索: 昔からのプロダクションは、新しい収益モデルを模索しています。例えば、デジタルコンテンツの配信、オンラインプラットフォームとの提携、SNSを活用したマーケティングなどが考えられます。


4. プロフェッショナリズムと品質


  • 品質へのこだわり: 昔からのプロダクションは、高い品質とプロフェッショナリズムを誇りとしています。これが彼らの強みであり、低予算で制作されるコンテンツとの差別化要因となります。


  • ブランド価値の維持: 長年の経験と実績を持つプロダクションは、そのブランド価値を維持しながら新しい市場に対応する必要があります。これには、既存のクライアントとの関係強化や、新しいクライアントの開拓が含まれます。


5. 将来への展望


  • コラボレーションの機会: 昔からのプロダクションは、新しいクリエイターやインフルエンサーとコラボレーションすることで、新しい市場に進出する機会を得ることができます。


  • 教育と研修: 若いクリエイターや新しい技術を取り入れるための教育や研修を通じて、プロダクション全体のスキルアップを図ることができます。


まとめ


日本の昔からある映像プロダクションに働く人たちは、市場の急速な変化や競争の激化に直面しながらも、高品質な作品を提供するという強みを生かして新しいビジネスモデルや技術に適応しようとしています。これまでの経験と実績を基に、変化する市場に対応し、持続可能な成長を目指しています。




映像制作業と動画制作業の業態の違い


従来の映像プロダクションと現代の動画クリエーターでは、ビジネスの進め方にいくつかの重要な違いがあります。これらの違いは、規模、組織構造、技術の使用、マーケティング戦略、収益モデルなどに反映されています。


1. 規模と組織構造


  • 既存の映像プロダクション: 既存のプロダクションは、通常、複数の部門(例:企画、撮影、編集、音響、マーケティングなど)を持ち、各部門に専門家が配置されています。プロジェクトはチームで進行し、組織全体で協力して高品質な作品を作り上げます。


  • 現代の動画クリエーター: 多くの場合、個人または小規模なチームで活動しています。一人が企画、撮影、編集、マーケティングすべてを担当することが一般的で、機動性が高く迅速な意思決定が可能です。


2. 技術の使用


  • 既存の映像プロダクション: 高度な専門機材やソフトウェアを使用しており、映画やテレビ番組、企業向けビデオなどの高品質な制作を行います。大型の撮影スタジオやプロフェッショナルな編集設備が必要です。


  • 現代の動画クリエーター: 比較的手軽な機材(例:デジタルカメラ、スマートフォン、消費者向けの編集ソフト)を使用して制作します。撮影から編集までを自宅や小規模なスタジオで行うことが多いです。


3. マーケティング戦略


  • 既存の映像プロダクション: 広告代理店やPR会社と提携し、大規模なプロモーションキャンペーンを展開します。テレビや映画館、企業イベントなどでの上映を主なターゲットとしています。


  • 現代の動画クリエーター: SNSやYouTube、TikTokなどのオンラインプラットフォームを活用して、直接ファンとコミュニケーションを取りながらプロモーションを行います。インフルエンサーとしての影響力を駆使し、フォロワーとのエンゲージメントを重視します。


4. 収益モデル


  • 既存の映像プロダクション: 主にクライアントからの依頼に基づいて収益を得ます。映画やテレビ番組の制作、企業向けビデオ制作、CM制作など、契約ベースの仕事が多いです。


  • 現代の動画クリエーター: 広告収入、スポンサーシップ、商品販売、クラウドファンディング、ファン支援など、複数の収益源があります。特に、YouTubeの広告収入やスポンサーシップが大きな収入源となっています。


5. 創造性と自由度


  • 既存の映像プロダクション: クライアントの要求に応じた制作が多く、制約が多い反面、予算やリソースが豊富です。作品の完成度が高く、長期間のプロジェクトが多いです。


  • 現代の動画クリエーター: 自由度が高く、独自のコンテンツを制作することができます。トレンドに敏感であり、迅速にコンテンツを制作・配信できるため、時事ネタや流行を取り入れたコンテンツが多いです。


まとめ


従来の映像プロダクションと現代の動画クリエーターは、それぞれの強みと弱みを持ちながら、異なるアプローチでビジネスを展開しています。プロダクションは高品質な制作と組織的なプロジェクト管理に強みがあり、クリエーターは機動性と創造性を活かした柔軟なコンテンツ制作が得意です。両者のアプローチは異なりますが、共に映像市場の多様化と成長に寄与していると言えます。


大小で二極化する


私の想像としては、中小企業レベルではそれぞれが相互の優位性を取り入れながら、両者はやがて融合していくものと思っていますが、大企業レベルではさらに高度な映像技術で機器とスタッフの技能が高度化されるのと思います。

つまり映像業界と動画業界は融合するものの、現在の映像業界、動画業界それぞれの流れを汲んだ一部の会社が大企業化し、いっぽう中小の映像会社・動画会社は完全に融合し、しばらくは淘汰を繰り返しながらも乱立状態が続くのではないかと思います。



Comments


bottom of page