一般的に、映像の方が文章よりも多くの情報を一度に伝えることができると言われています。その理由を考えてみます。
1. 情報の種類の豊富さ
視覚情報: 映像は、文字だけでなく、色、形、動き、空間など、多様な視覚情報を同時に提供できます。これにより、文章では表現しづらいニュアンスや雰囲気を伝えることができます。
聴覚情報: 音声、音楽、効果音など、様々な聴覚情報を組み合わせることで、より臨場感あふれる表現が可能になります。
時間軸: 映像は時間軸に沿って情報を展開できるため、変化や過程をダイナミックに表現できます。文章では静止画のような表現になりがちです。
2. 脳への働きかけ
脳の活性化: 映像は、視覚野、聴覚野など、脳の様々な領域を同時に刺激するため、より多くの情報を効率的に処理することができます。
感情への訴えかけ: 映像は、視覚的な情報と聴覚的な情報を組み合わせて、感情に直接訴えかけることができます。文章では、読者の想像力に頼る部分が多くなります。
記憶への定着: 映像は、視覚的な情報と聴覚的な情報を同時に提供するため、記憶に残りやすく、学習効果も高いと言われています。
3. 非言語的な情報の伝達
表情や動作: 映像では、人物の表情や動作から、言葉では表現できない感情や意図を読み取ることができます。
状況や雰囲気: 映像は、背景や環境、状況などを含めて表現できるため、文章よりもリアルな状況を伝えることができます。
4. 情報伝達の効率性
短時間で多くの情報を伝達: 映像は、短時間で多くの情報を視覚的に伝えることができるため、忙しい現代人にとって効率的な情報伝達手段と言えます。
多様な層への伝達: 映像は、文字を読めない人や、言語の壁を越えて、多くの人々に情報を伝えることができます。
嘘ではないが
「画像が連続的に変化している」
「画面に文字が入る」
「音でも言葉が伝えられる」
「音楽で情感が加わる」
きりがないくらい情報をてんこ盛りできるコンテンツ、それが動画である。
よく考えてみてほしいこと
画像、文字、言葉(声)、音楽が、すべて異なる意図をもった情報を持っていたなら、たしかに情報量は4倍だ。
けれど、それぞれが別な意図を持っていたら、視聴者は意味がわからないと思わないか?
では、同じ意図を持った情報を4つ重ねたら、情報は4倍だろうか?
いや、違う。
情報は1でしかないが、その圧力が4倍になるのだ。
ただし、ただ重ねればいいというものではなく、互いの情報が効果的に相手の情報を盛り上げる働きをしてこそ、ボルテージやインプレッションが高まるのだ。
映像を企画する
優れたシナリオライターや演出家は知っているのだ。
ほんとうに情報をてんこ盛りにすると、何にも伝わらないことを。
相互に気持ちよく共鳴しあったり、伏線となって初めて、映像と音の競演、饗宴、共演となることを。
絵コンテは曲者
BtoB映像の制作工程では、絵コンテによってお客さんと製作者の意思疎通、確認を行うけれど、「絵コンテに必要な情報が全部入ってる!」ということで「OK!」を出してはいけません。
絵コンテに情報が全部入っているからOK
という判断は、とにかくやめたほうがいいです。
いっぺんに情報を投げられても、視聴者はついていけません。
目と耳が置いてきぼりにされること間違いなしです。
人間の目や耳から入った情報を理解するのは脳みそです。
絵コンテからはその前後のコマの流れ、そのコマの画像の背後で流れている言葉、音楽が効果的にシーンの意図を伝えているのか・・・そこを読み取らなくてはいけません。
隅々までしっかり見て、読んで、想像してください。
人の理解のスピードはゆっくり歩くくらい
人間の脳みそが気持ちよく情報を理解するスピードは、プロのナレータが噛んで含めるようにしゃべるスピードで読む原稿、その原稿のテキストの情報量/時間が、ちょうど人間の理解のスピードだと思ってください。
優れた映像は情報量は多くないが伝わる強さが違う
映像や画面の文字、音楽は、その情報の理解をアシストする、ないしは水先を案内する伏線としての役割を果たしている、そんなくらいでちょうどいいのです。
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