見積書の項目の中で大きな金額を占める要素のひとつが「撮影」です。撮影予算はだいたいが「×日数」なので、予算を削る時は撮影日数を1日減らすということをよく行います。そうすると、どうしても素材が足らないということが起こります。
全国の支社社屋の映像が必要なのに、予算がないので出張する人に「撮ってきてください」ということもよくあります。また、セキュリティや安全の問題があり、外部の人間が入れない場所の撮影。めったにやらない試験(の撮影)だけど、撮影日程が合わない。ということも。
託される撮影
こうして撮影を託されるのは、社員の人で趣味でビデオカメラをやっている、という人がいればいいのですが、そうとも限りません。最近ではスマホのカメラ機能が凄いので、ビデオカメラを持っていくことも無くなりました。そして私たちプロダクションは、その撮影データをいただきます。そしてかなりの頻度で「あーこれでは使えない〜」ということが起こります。まずは、よくある「使えない」例です。頼まれた人はぜひ参考にしてください。
手ブレ
カメラを安定して保持できず、映像が揺れてしまう。
→三脚を使えば完璧ですが、最近はカメラの手ぶれ防止機能を使えばかなりOK
逆光
肝心な被写体が真っ黒。
→撮りたい被写体の向こうに光源がある時はカメラの位置を変えてください
ズームの過剰使用
頻繁にズームイン・アウトを繰り返すので使えるところがない。
→基本的にズームは使わないでください。引いて撮ったら、一旦切って、寄ってまた撮る。
露出の誤設定
明るすぎ、暗すぎが修正可能範囲を超えている。
→基本的にオートがいいですが、撮りたい被写体の明るさが適切かはチェック
ピントの甘さ
被写体にピントが合っていない映像は使えない。
→撮りたい被写体にピントを合わせてください。オートの時はモニターをよく見ていて。
音声収録の不備
風切り音や環境音が大きく入る、または音声が小さすぎる。
→風が吹いている、車が走っている時は声の録音はNG。人の声を録るなら外部マイクを使う。必ず近づけて。
構図の悪さ
被写体が中心に来ていない、余白が適切でない。
→自信がない場合は、4Kモードで被写体を真ん中にして引き気味で。
ホワイトバランスの未調整
修正不能なレベルのホワイトバランス。
→モニターを見て色がおかしかったら必ず調整を。
バッテリー・記録メディアの準備不足
撮影中にバッテリーが切れる、容量不足で記録できていない。
→撮れていないことは現場で気づきましょう。
不適切な記録モードの選択
低解像度、間違った録画モード。
→打ち合わせしたモードで撮影を。あらかじめ設定方法を確認。
急な動きや向きの変更
パンやティルトで画面が動いていて使えない。
→カメラが回っている時はカメラを動かさない。撮りたいものが全部画面に入る位置まで下がって撮りましょう。
「使えない」を回避する方法
4K 60pで撮影する
最近はスマホでも4Kや60pでの撮影ができるので、容量に余裕があるならば4K/60pで撮ってください。そうすればトリミングをして使える構図にすることができ、スロー再生をして尺を稼げる可能性が高まります。
OKカットが撮れるまで撮る
これが究極の方法です。撮影した映像を再生してみてちゃんと撮れているかどうか確認して、撮れていないならもう一回撮ってください。撮れるまで撮ってください。そうすれば大丈夫です。
なーんて言われても、そもそも「撮れてる」のかどうか判断することが難しいのですよね・・・。
では、少なくともその場で再生してみる。
おかしいな、と思ったらもう一回撮る。
これだけはやってください、お願いします。
あ、逆光には注意してくださいね。
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