ウイルスの拡散過程を視覚的に表現する映像プロジェクト
ウイルスという微小な存在は、その極めて小さな大きさゆえに肉眼では捉えることができません。さらに、多くのウイルスは無色透明であるため、たとえ大量に存在していたとしても、私たちの目には何も見えないのが現実です。当然のことながら、通常のカメラでもその姿を捉えることは不可能です。
しかしながら、私たちの日常生活の中で、このような目に見えない微細な粒子が、人々の咳やくしゃみによる飛沫、あるいは手を介した接触によって、どのように感染を広げていくのかを映像化することは可能であると考えています。もちろん、実際の有害なウイルスを使用して実験映像を制作することは、安全面から考えても許されることではありません。そこで、私は代替手段を考案しました。
具体的な実験方法の提案
科学的厳密性を求める研究者の方々からは「正確さに欠ける」という指摘を受ける可能性は十分に承知していますが、ウイルスの代わりにデンプンの粉末を使用する実験方法を提案したいと思います。確かに、デンプン分子はウイルスと比較して格段に大きいため、肉眼でも識別可能です。しかし、この特性を逆に利用することで、感染の広がりを視覚的に表現できるのではないでしょうか。
以下具体的な撮影シーン
ある男性Aが、両手で口を覆いながら激しく咳き込む様子を撮影します。
続いて、Aが通勤電車に乗り込み、つり革に手を掛ける場面を映します。
その後、別の乗客Bが同じつり革に触れ、次の駅で下車する様子を捉えます。
Aは会社に到着し、エレベーターに乗り込んで行き先階のボタンを押します。
一方、駅を出たBはコンビニエンスストアに立ち寄り、セルフサービスのコーヒーマシンを操作します。プラスチック製の蓋を取ろうとして誤って2枚取ってしまい、1枚を戻す様子を撮影します。
会社では、Aが触れたエレベーターのボタンを別の社員Cが押す場面を映します。
コンビニでは、Bが戻したプラスチックの蓋を別の客Dが使用し、その場でコーヒーを飲む様子を撮影します。
エレベーターを降りたCが歩きながら無意識に鼻に指を入れるシーンで締めくくります。
ヨウ素デンプン反応を利用した視覚効果
ここで、中学校の理科の授業で学んだ知識を思い出していただきたいと思います。デンプンにヨウ素液を加えると、鮮やかな青紫色に変化する反応があります。この化学反応を映像制作に活用することで、ウイルスの拡散を視覚的に表現できるのではないでしょうか。
具体的には、上記のシーンをもう一度最初から撮影し直し、それぞれの場面で指や手が物体に触れた瞬間の映像をフリーズさせます。そして、その接触部分にヨウ素液を吹きかけると、デンプンが存在する箇所が鮮やかな青紫色に変化します。このような効果を施したカットを連続して編集することで、目に見えないウイルスが次々と伝播していく過程を、観る人に印象深く、かつ分かりやすく伝えることができるのではないでしょうか。
このような映像制作を通じて、日常生活における感染リスクの高さや、適切な衛生管理の重要性を視覚的に訴えかけることができれば、公衆衛生の啓発に大きく貢献できるものと考えています。
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