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Tomizo Jinno

どうしてテレビCMの制作費は高額なのか

「テレビCMを制作して欲しい」

とクライアントから提案を求められると、広告代理店やPR会社は商品の競合やマーケットの特性を調査し、その分析結果から導き出したテーマやコンセプトを、CM制作会社の企画担当者に示して、具体的なテレビCMプランをつくるよう依頼します。 もちろん広告代理店社内で企画案を作る場合もあります。

制作会社はこの段階で通常、大枠の予算も提示されますので、制作会社は受注が見込める予算いっぱいを使い切る(もちろん利益を残して)企画・制作プランを考えます。これは経済論理から考えてあたりまえです。

たとえ具体的に金額を言われなくても、それまでの取引の流れから凡その予算は暗黙の了解がある場合も多くあります。

  

例えば1,000万円の制作予算

が見込めれば、その予算を使い切る証拠として、見積り明細書には相応の項目と妥当な金額が書き込まれていなくてはなりません。ですから、例えば撮影の項目にはカメラマン、カメラマンアシスタント、2ndアシスタント、ビデオエンジニア、オーディオ、照明マン、照明アシスタント、照明アシスタント2とか、どんどん並びます。

実際には要らないスタッフを書くなんてことはありませんし、見積書を埋めるための企画を考えるなんてことはしません。こうした予算が見込めるCMには、それに相応しいレベルのクルー・スタッフ布陣での制作を構想することは当たり前だからです。

  

全てがイメージ通りで破綻なく洗練されているのがCG

スタッフがたくさん寄って集り、最高レベルの技術を投入しないとできない企画とは、どういう企画でしょう。簡単に言えば、それは「画面の中が全てイメージ通りで破綻なく洗練されている」企画です。作り上げる映像を企画のコンセプトにパーフェクトに合致させるには、例えばタレントであれば、その人選はもちろん、衣装やメーク、背景となる世界もすべてカスタムメイドするしかありません。タレントのスケジュールに合わせ、短時間に様々なプロフェッショナルが、自分の専門領域のみに専念して映像の世界観の作り込みに集中する体制が必要なのです。

背景が屋外であればロケーションコーディネータがロケ地と交渉して、撮影許可をとり、そのロケーションにとって完璧な背景を美術さんや仕出し屋さんの力を借りて作り出します。タレントさんにはスタイリスト、メイクアップアーチスト、ヘアメイクさんがつき、モニターを睨みながら衣服の皺、髪の毛1本の乱れも許しません。

CGやVFX、編集の技巧に関しては、デザイン性やオリジナリティある映像が求められ、今は単なる技術を習得したオペレータがいればなんとかなる時代ではありません。

  

パーフェクトな映像世界はブランディング上必須

一流企業のブランド広告であれば、こうしたパーフェクトな映像世界はブランディング上マストです。こうした映像世界が、そこにあるがままの街角やお店で簡単に撮れるわけではありません。とてつもない労力とお金が注ぎ込まれて、たった数秒の映像ができているのです。

ネットサーフィンすると「動画制作5万円!」という文字が飛び込んでくる今、どうしてCMの制作費だけは高額なの? 簡単に言ってしまえば、CMの制作見積書は現在の技術とセンスの最高レベルの映像制作を基準としているのです。

  

それも今は一部の大手の話

でも、高額な制作費があたりまえというのも今や大手クライアントや大手広告会社での話。こうした予算をもったCM制作案件はローカルではそう多くはありません。

ローカルでは企画の段階から、そうしたフルスペック・最高スペックの制作スタッフ布陣を必要とするプランは念頭から外しているのが現実。アイデアで勝負と言ってもいいかも知れません。販売促進への直結を求められる案件が多いローカルCMは、画像のパーフェクトさよりも、企画の面白さの方が重要視されます。  


そこにあるがままの世界を切り取るCM

思い通りの映像世界を作り上げるには多くのコストが掛かりますが、そこにあるがままの世界を切り取って、あるいはちょっとだけ手を加えてそれがCMとして面白ければ、そのほうが良いかも知れません。

  

こうした事情を解った人たちが今WEB動画に注目

大手企業の企業CMのような完成度を求めるならば、ちゃんと予算を用意しなくてはなりませんが、WEB動画はワンカット、ワンカットの完成度よりも冒頭のインパクトと情報伝達性。SEOやターゲティングによって広告予算は格段に効率化できると考えるからです。

  

どうしてテレビCMの制作費は高額なのか
CM制作とタレント

  

 


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