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Tomizo Jinno

ウェブサイトに散見される動画・映像制作に対する誤った認識

近年、インターネット上での情報検索が一般化するにつれ、動画・映像制作会社を探す際にも検索エンジンが第一の手段となっています。しかし、検索結果の上位に表示される情報の中には、長年映像制作業界に身を置く者から見ると少々偏った知見だと感じることが多々あります。そうした表層的な情報や誤った認識に基づいた記事によって、クライアントの皆様の適切な判断を妨げているいるのではないかと危惧する点をふたつ書きます。



①動画・映像はマーケティングのためだけではない


最も顕著な誤解は、すべての動画・映像制作がインターネット上での配信やマーケティング目的に制作されているという思い込みです。確かに、ソーシャルメディアやウェブサイトでの活用を前提とした動画制作の需要は増加していますが、それは動画制作の世界のごく一部に過ぎません。

美術館やミュージアムでの展示用映像、企業の周年記念イベントで使用される映像、建築や芸術作品のアーカイブ映像、教育機関での教材映像、さらには歴史的価値のある記録映像の制作など、動画制作の用途は実に多岐にわたります。これらの映像作品の多くは決してインターネットでは視聴できません。そしてこれらの映像制作には、それぞれ異なる専門知識や技術、経験が必要です。なによりもベースとなる学識が必要です。



②短尺は必須条件ではない


昨今の動画・映像制作はインターネットマーケティングを念頭に置いていることが多いため、視聴離脱回避対策を第一の課題とする記事で埋もれています。その結果「動画は30秒まで」とか「動画は短ければ短いほど良い」といった誤った知見が常識かのように言われるようになりました。

しかし、上記のような非インターネット系ジャンルの動画・映像コンテンツは視聴環境、視聴対象者が全く異なるため、必ずしも短尺である必要はないばかりでなく、視聴者を引き込む明確なストーリーのために、十分な尺が求められるケースも多くあります。

また視聴者は「タイムパフォーマンス」を重視する世代とは限らず、十二分な情報を噛んで含めるように時間を掛けて伝えるという手法が有効な世代にも配慮する必要があります。



適切な制作会社の選び方


真に価値のある映像制作を実現するためには、まず企画の目的や求められる効果を明確にすることが重要です。例えば、展示用映像であれば、展示企画を具体化する映像プランの立案、展示空間との調和や来場者の動線を考慮した演出が必要となります。企業のブランド映像であれば、その企業の歴史や理念の背景を理解し、未来へのビジョンを適切に表現する能力が求められます。


制作会社を選ぶ際は、以下のような観点から評価することをお勧めします:


まず、その制作会社が手がけた作品を実際に視聴し、技術力だけでなく、作品に込められた思想や表現力を評価してください。優れた作品には、必ず制作者の深い洞察力と創造性が反映されているはずです。


次に、打ち合わせの場での対話を重視してください。プロフェッショナルな制作者は、クライアントの要望を単に受け入れるだけでなく、その本質的な目的を理解し、時には建設的な提案や代替案を示すことができます。このような対話を通じて、制作会社の真の実力と姿勢を見極めることが可能となります。


また、その制作会社が過去に手がけた同様のプロジェクトについて、具体的な制作プロセスや直面した課題、それらをどのように解決したかを詳しく聞くことも有効です。実践的な経験に基づく知見は、プロジェクトの成功に不可欠な要素となります。



良質な映像制作のために


映像制作は単なる技術的な作業ではありません。それは、目的に応じた最適な表現方法を追求し、視聴者の心に響く作品を生み出すための創造的なプロセスです。インターネット上の表層的な情報に惑わされることなく、実際の制作現場で培われた専門知識と経験を持ち、社会経験を十分に積んだ真の専門家の意見に耳を傾けることが、質の高い作品を生み出すための第一歩です。

映像制作とは、クライアントと制作者が共通の目標に向かって協力し合う創造的なパートナーシップです。その実現のためには、一時的なトレンドに惑わされることなく、真摯に作品と向き合う姿勢を持った制作会社を選ぶことが何より重要です。そうして初めて、視聴者の心に深く残り、長く愛される価値ある作品が生まれるのです。



動画クリエーター

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