「形ある商品」と「形のない商品」
どちらが売る側にとって楽なのか、という問いは、多くのビジネスパーソンが抱く問でしょう。形のある商品を扱う人からは、形のないサービスやコンテンツを売る私たちが羨ましいと言われる一方で、私たちは形のある商品の安定感に魅力を感じます。
形のある商品は、その実物がそこにあるため、客観的な評価が可能です。例えば、家具であれば、そのデザインや素材、機能性を目で見て、手で触れて判断することができます。しかし、映像コンテンツのような形のない商品は、人の主観や解釈によって評価が大きく左右されます。契約前の企画段階から、納品後の評価に至るまで、常に顧客とのコミュニケーションが不可欠であり、その意味で非常にデリケートな商材と言えるでしょう。
形あるものの悩み
形のある商品には、一見して安定感があるように思われますが、実際には様々な課題が存在します。例えば、耐久性の問題があります。どんなに優れた製品でも、時間の経過とともに劣化は避けられません。また、デザインや機能性に関する顧客の好みは千差万別であり、全ての人々を満足させることは至難の業です。さらに、製造過程や輸送中のトラブルにより、品質に問題が生じる可能性も常に存在します。そのような場合、交換や修理といった迅速な対応が要求され、それに伴うコストと労力は決して小さくありません。
加えて、在庫管理の問題も形のある商品特有の課題と言えるでしょう。需要予測を誤れば、過剰在庫による損失や、逆に機会損失を招く恐れがあります。また、商品の保管にかかるコストや、時代の変化による陳腐化のリスクなども考慮しなければなりません。これらの課題は、形のある商品を扱うビジネスにおいて、常に頭を悩ませる要因となっています。
しかし、私たち映像制作者から見ると、これらの課題は、事前のコミュニケーションによってある程度回避できるもののように思えます。顧客のニーズをしっかりとヒアリングし、具体的な提案を行うことで、誤解やトラブルを未然に防ぐことができるからです。
形ないものを売る仕事の核心はコミュニケーション
形のない商品を扱う私たちの強みは、顧客とのコミュニケーション力にあります。形のある商品の場合、製品そのものが顧客とのコミュニケーションツールとなる側面がありますが、映像コンテンツの場合は、企画段階から納品後の評価に至るまで、常に顧客との対話が必要です。
顧客の頭の中に描かれている映像のイメージを正確に把握し、それを形にする。このプロセスこそが、私たち映像制作者の醍醐味であり、同時に大きな責任でもあります。顧客の期待を裏切ることなく、最高の映像作品を提供するためには、高いコミュニケーション能力と豊かな想像力が不可欠です。
形あるもの、形ないもの、どちらが優れているかという議論は、おそらく永遠のテーマでしょう。しかし重要なのは、それぞれの商材が持つ特徴を理解し、その特徴を活かしたビジネス戦略を立てることです。形のない映像コンテンツは、顧客との共創によって生まれる、まさに「創造の産物」と言えるでしょう。
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