創作物は魂の具現化
私は強く信じているのですが、プロフェッショナルが生み出す作品には、必ずその人の魂が宿っています。それは広告業界に限った話ではありません。家具職人が丹精込めて作り上げた椅子一脚、小説家が幾度も推敲を重ねた物語、建築家が設計した建物——これらすべてが、作り手の人格や精神性の表現なのです。その意味で、すべての創作物は作者の分身と言えるでしょう。
このような考えから、私は他のプロフェッショナルが手掛けたデザインや作品について、公の場で批判的な意見を述べることを控えています。もちろん、家族や親しい友人との私的な会話の中では、率直な感想を述べることはあります。しかし、たとえ個人のブログやSNSであっても、第三者の目に触れる可能性のある場所では、決して批判的な言葉を書き記すことはしません。
なぜなら、作品への批判は、時としてその作者の人格や存在そのものを否定することに等しいからです。たとえ当事者が直接目にすることがなくても、その作家やデザイナーに共感し、支持している人々の心を深く傷つける可能性があります。
有名税という考え方への疑問
世間では時として、「有名人なのだから批判は覚悟の上だ」という意見を耳にします。いわゆる「有名税」という考え方です。しかし、必ずしもすべてのクリエイターが望んで有名になったわけではありません。また、私のように繊細な感性を持つ者もいます。
どれほど小さな作品であっても、真摯な思いを込めて制作された文章や映像は、作者にとって愛おしい存在であり、紛れもない自己表現なのです。そのため、誰からであれ、心ない言葉を投げかけられれば、深く傷つくものです。
プロフェッショナリズムの本質
ただし、ここで重要な区別をしておく必要があります。遊び心で作られた作品や、真剣さを欠いた制作物については、また別の評価軸があってもよいでしょう。なぜなら、そうした作品には作者の魂が十分に込められていないからです。
プロフェッショナルの仕事には、表面には現れない多くの考慮事項が存在します。クライアントの要望、業界の慣習、マーケティングデータ、そして時として明文化されていない暗黙の了解まで、数多くの要素を調和させなければなりません。このような複雑な要求に応えられるのは、豊富な経験と深い知識を持つプロフェッショナルならではの特質です。
真摯な姿勢が生む価値
私たちプロフェッショナルは、自分たちの作品に対して強い愛着と責任感を持っています。必ずしもその姿勢が直接的に作品の質に反映されるとは限りませんが、真摯に取り組んだ仕事は、必ずや顧客や視聴者の心に響くものになると信じています。
この信念に基づき、私は自身がキャスティングしたスタッフの仕事に対して、過度に細かい指示を出すことは控えています。プロフェッショナルの自主性を尊重することで、より優れた創造性が発揮されると考えるからです。もちろん、最終的にはクライアントの満足度を最優先しますが、それはスタッフへの「指示」ではなく「提案」という形で実現していきます。
結びとして
創作活動において最も重要なのは、作り手の真摯な姿勢と、それを受け取る側の理解と敬意です。プロフェッショナルの仕事を批評する際には、その作品に込められた思いと努力を十分に考慮する必要があります。なぜなら、すべての創作物には、作り手の魂が宿っているのですから。
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