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Tomizo Jinno

テレビドラマの「あるある」演出

テレビドラマや映画では、ストーリーを進行させるために現実離れした表現がよく使われます。「そんなのあるわけないよ〜」などと思いながらも、ドラマなら許されていることを思いつくまま挙げてみます。


あるある演出


コンピューター関連


  • 「拡大」コマンドで低解像度の画像が鮮明になる

  • 数秒でパスワードを解読する

  • キーボードを叩くだけで複雑なハッキングが完了する

  • 地球の裏側にいる犯人をリアルタイムに衛星画像で追跡する


法医学・捜査


  • DNA検査結果が数分で出る

  • 指紋照合が即座に完了する

  • 顔認識システムが常に正確に機能する

  • 法的手続きを経ずに携帯電話の位置情報をチェックする


  • ドアロックをしないまま車を置いていく

  • 車が止まるとタイヤが鳴る

  • 混雑した都市でも簡単に駐車スペースが見つかる


戦闘・アクションシーン

  • 銃の弾丸が尽きない

  • 爆発の際に主人公が吹き飛ばされずに歩いて逃げる

  • 格闘シーンで複数の敵が一人ずつ攻撃してくる


医療関連

  • 心肺蘇生法を数回行うだけで患者が目覚める

  • 複雑な手術が短時間で終わる

  • どんな怪我でも数日で完治する

  • 特効薬を飲ませると即座に快復する


日常生活

  • 朝食の準備が完璧にできているのに誰も食べずに出かける

  • 携帯電話の電池が切れない

  • 鏡に対して斜めにいる人が正面に映っている

  • 食卓のこちら(カメラ)側に誰も座らない


会話・コミュニケーション

  • 複雑な説明を一度で完璧に理解する

  • 電話で重要な情報を伝えるときに必ず遮られる

  • 悪役が長々と自分の計画を説明する


科学技術

  • 宇宙船が音を立てて宇宙空間を飛行する

  • 時間旅行による矛盾が起きない

  • 人工知能が突然感情を持つ


特殊効果

  • 車が少しの衝撃で爆発する

  • 銃撃戦で無限に弾丸が飛び交うのに主人公は撃たれない

  • 水中で長時間息を止めていられる



お約束


こうした演出は、ドラマや映画の中で物語を効率的に進行させたり、視聴者の興味を引くために使用されますが、現実世界では起こり難いか不可能なものばかりです。エンターテインメントとしての映像は視聴者を楽しませ、興味を引くことが主な目的であり、現実的な描写よりも劇的で印象的な演出の方が観客の心を掴みやすいからです。


また、限られた時間内で物語を効率的に展開する必要があるため、現実的な過程を全て描くと物語のペースが遅くなり、退屈になるという理由もあります。また、エンターテインメン視覚的インパクトも重要な要素で、特にアクション映画などでは派手な演出が作品の魅力の一部となっています。さらに、多くの視聴者はある程度の非現実性を予期し、それを娯楽の一部として受け入れているという側面もあります。

芸術的表現の観点からは、現実にとらわれない表現は監督や脚本家の創造性を表現する手段となりますが、実際には技術的制約や予算的制限により、現実的な描写が困難だからでしょう。

これは無理!
これは無理!


ドラマツルギー


ジャンルの慣習も無視できません。特定のジャンルでは、ある程度の非現実性が慣例として確立されています。非現実的な演出が、より深い意味や主題を象徴的に表現する場合もあります。細部を全て現実的に描写せず、観客の想像力に委ねる部分を残すことで、作品への没入感を高める効果もあります。また、独自の法則や論理を持つ世界を創造することで、作品全体の一貫性を保つこともできます。



許容範囲はひとそれぞれ


こうした理由で、ドラマや映画では現実と異なる演出が許容され、むしろそれが作品の魅力の一部となっています。ただし、視聴者の許容度や作品のジャンル、制作者の意図によって、その度合いは大きく異なります。

例えば私は仕事柄「「拡大」コマンドで低解像度の画像が鮮明になる」これは許容していません。なぜならば、こうしたドラマや映画を作っている人こそが、まさに映像業界の人だからです。よく知っている身近な技術を、この非現実的な演出の道具にすることに抵抗感はないのかな?と思ってしまいます。

あなたなら、上記のどれを許して、どれが許せませんか?



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