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パーソナライズ機能が増幅する確証バイアス

はじめに


インターネットは、パーソナライズされた情報提供によって、ユーザー一人ひとりの興味や関心に合わせたコンテンツを届けるようになっています。このパーソナライズ機能は、ユーザー体験の向上に大きく貢献していますが、一方で、ユーザーが確証バイアスに陥る可能性を高めるという側面も持ち合わせています。


パーソナライズ機能が増幅する確証バイアス
パーソナライズ機能が増幅する確証バイアス


パーソナライズ機能とは?


パーソナライズ機能とは、ユーザーの過去の行動履歴、検索履歴、閲覧履歴などを基に、そのユーザーが興味を持つであろう情報を予測し、個々人に合わせたコンテンツを表示する技術です。例えば、ある商品を検索したユーザーに対して、その商品に関する広告やレビューが頻繁に表示されるといったことが挙げられます。


確証バイアスとは?


確証バイアスとは、自分がすでに持っている信念や仮説を支持する情報ばかりに注目し、それとは異なる情報や意見を無視したり、歪曲して解釈したりする認知バイアスの一種です。人は、自分の考えが正しいと確認したいという心理的な欲求を持ち、そのため、自分の考えを支持する情報に過度に反応してしまう傾向があります。


パーソナライズ機能が確証バイアスに与える影響


パーソナライズ機能は、ユーザーの確証バイアスを強める可能性を以下の点で高めます。


1.フィルターバブルの形成

パーソナライズ機能によって、ユーザーは自分の興味関心に合った情報ばかりに囲まれ、異なる意見や視点に触れる機会が減少します。この現象は、「フィルターバブル」と呼ばれ、ユーザーが自分の世界観を狭めてしまうことにつながります。



2.エコーチェンバー効果

ソーシャルメディアなどでは、同じような考えを持つ人々同士で情報を共有し、互いの意見を強化し合う「エコーチェンバー」効果が生まれやすくなります。パーソナライズ機能は、このエコーチェンバー効果を助長し、ユーザーが自分の意見を絶対視する傾向を強める可能性があります。



3.選択的暴露

パーソナライズ機能によって、ユーザーは自分の信念を裏付ける情報を選択的に受け取りやすくなります。例えば、ある政治的な意見を持っているユーザーは、その意見を支持するニュースや記事ばかりに目が行き、反対意見を無視してしまう可能性があります。



4.偽情報の拡散

パーソナライズ機能は、偽情報が特定のユーザーに繰り返し表示されることで、そのユーザーが偽情報を真実だと信じてしまう可能性を高めます。



5. 信頼の低下


専門家や機関への不信感

偽情報が拡散することで、専門家や機関に対する信頼が低下し、科学的根拠に基づいた議論が難しくなります。


社会不安の増大

偽情報が社会不安を煽り、社会全体の不安定化につながる可能性があります。



6. 民主主義の危機


政治への無関心

パーソナライズされた情報によって、政治に関する情報が自分に関係ないと感じ、政治への関心が低下する可能性があります。


ポピュリズムの台頭

極端な意見や感情に訴える政治家が支持を集め、民主主義が危機に瀕する可能性があります。



映像の悪用


パーソナライズされた対象に対して特化した映像をつくれば、非常に効率的にその集団を洗脳することができるため、悪意を持った者は映像を利用する可能性が高くなります。

映像は美しさや感動を映し伝えることができる優れた媒体ですが、同時に醜さや憎悪を増幅する凶器でもあります。凶器としては使いたくない、使って欲しくない。それが私が映像を仕事として生きてきた30余年、一貫した基本理念です

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