あらゆる業界にプロデューサーがいる
プロデュースという業務はメディアコンテンツの創作だけに限らず、様々な事業・プロジェクトを統括する職務として、その必要性が一般の人々にも認知されるようになってきました。
映像制作の現場は分業から集約へ
ところで映像制作業界では、ひと昔前までは企画、シナリオ、演出、撮影、編集、録音etc… という職務はすべて個別のスタッフが担当することが当たり前でしたが、今では演出、撮影、編集、時には録音までひとりでやってしまう制作スタイルが多くなってきました。これ、決してソーホースタイルのプロダクションだけでなく、組織立って映像制作している比較的大きな制作会社でも、撮影と編集とか、演出と編集、編集と録音などを兼任している例が増加していると思います。かく言う我が社もこのパターンです。
職務には適性がある
ところが、プロデューサーが演出から撮影、編集までやってしまう例はあまり多くありません。プロデュースという職務に対する適性と、演出、撮影等というクリエイティブ業務に対する適性が、かなり乖離しているからではないでしょうか。
一般論として
誰かが統計をとったわけではないので、これは僕の主観ですが、演出、撮影、編集等をひとりでこなしてしまう多才なクリエイターでも、企画や脚本をお願いすると、正直なところあまりオリジナリティのあるアイデアや切り口は出てきません(私は違う!という方ごめんなさい。一般論としてです)。という以前に、彼らは制作の前段階にある作業(お客さんとやりとりしながら企画を立ち上げ、構成案やシナリオをまとめ上げるという作業)には、非常にストレスを感じるようで、たいてい辞退されます。お客さんとのコミュニケーションのストレスと映像の制作工程のストレスを、同時に両方背負うのは超人的な包容力?が必要だからだと思います。
ストレスを排除して楽しく仕事したい
ただ、演出家だけど自分で書いた企画、シナリオでないとやりたくない、という人は多くいます。更に今では編集も自分でやるという演出家が増えています。自分で脚本作っちゃえばお客さんとのコミュニケーションストレスあってもは、不本意な作品を演出するストレスよりはマシ。また自分で編集しちゃえばエディター(編集マン)との感性のズレ(ストレス)もありません。
プロデューサーは両方の立場を尊重する
プロデューサーはお客さんのプロジェクトの目的を達成することと、スタッフたちがやり甲斐を持って取り組める仕事(企画、脚本、制作体制)にすることを調整する、いわば「コミュニケーション」することが主たる業務であることに対して、クリエイターの業務はコンテンツの良し悪し(=お客さんに成果をもたらすこと)の一点に向かって突き進む「集中力」が重要です。つまり外部からの干渉が極力少ない環境での作業が効率を高めます。もちろんその職務はお客さんに喜んでいただくこと、その一点に向いています。
クリエイターの顔をしたプロデューサー
ところで、先日のリオデジャネイロオリンピックの閉会式で話題になった椎名林檎のように、今日のプロデューサーは、クリエイターとしての創作能力を合わせ持った(ように見える)人材に期待が集まっているように思います。
イベントや建築におけるプロデューサーも、やはり現場とクライアントをつなぐ調整役としての職務が中心だと思いますが、彼らに現場の技術や知識が不可欠であるように、我々映像制作におけるプロデュースも、映像制作に関する基本技能や経験が不可欠な時代です。少なくともお客さんの視点から見たら、我々プロデューサーはクリエイターそのものでなくてはなりません。
僕はプロデューサーで企画や脚本を自身で作成
自身で創作したアイデアであれば、プレゼンテーションに熱意がこもりますし、お客さんからの質問にも即座に回答ができます。また愛着ある仕事として、最後まで粘り強く品質管理を行えます。
Comments