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Tomizo Jinno

二極化する映像制作見積書

二極化する映像制作見積書
従来のプロダクションスタイル

従来のプロダクションスタイルの見積書



従来のプロダクションスタイルは、大規模な制作体制と専門的な機材を用いて高品質な映像を制作することが特徴です。この方式での見積もり方法は以下のような特徴があります:


a) 詳細な見積書作成:

プリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションの各段階に分けて、詳細な項目ごとに費用を算出します。これには人件費、機材費、ロケーション費用、編集費用などが含まれます。


b) 人件費の細分化:

ディレクター、カメラマン、照明技師、音声技師、編集者など、専門スタッフごとの人件費を個別に計上します。それぞれの経験や技術レベルに応じて異なる単価が設定されることが一般的です。


c) 機材費の明細化:

カメラ、照明機材、音声機材などの専門機材の使用料を日数ごとに計上します。高品質な機材ほど高額になる傾向があります。


d) ロケーション費用:

撮影場所の下見、許可取得、会場使用料などを含めたロケーション関連の費用を詳細に計上します。


e) ポストプロダクション費用:

編集作業、カラーグレーディング、音声ミキシング、CG制作などの後処理作業に関する費用を細かく計上します。


f) 間接費の計上:

企画会議、打ち合わせ、進行管理などの間接的な作業に関する費用も計上します。


g) 利益率の設定:

上記の直接費用に加えて、一定の利益率を上乗せして最終的な見積金額を算出します。


新たな動画クリエータースタイル
新たな動画クリエータースタイル

新たな動画クリエータースタイルの見積書


一方、新たな動画クリエータースタイルは、個人や小規模チームによる柔軟な制作体制が特徴です。この方式での見積もり方法には以下のような特徴があります:


a) パッケージ料金制:

制作の複雑さや動画の長さに応じて、あらかじめ設定されたパッケージ料金を提示することが多いです。例えば、「3分以内の企業PR動画」といった形で料金が設定されます。


b) 簡素化された見積書:

従来のスタイルと比べて、見積書の項目が大幅に簡素化されています。多くの場合、企画、撮影、編集という大きな枠組みでの料金提示になります。


c) 一人多役の人件費:

クリエーター自身が企画、撮影、編集の多くを担当するため、個別の専門スタッフごとの人件費計上ではなく、トータルの制作費として計上されることが多いです。


d) 機材費の内包:

多くのクリエーターが自前の機材を使用するため、機材費は別途計上せず、制作費に内包されることが一般的です。


e) ロケーション費用の簡素化:

クライアントの事務所や公共スペースでの撮影が多いため、ロケーション費用が大幅に削減されたり、制作費に含まれたりすることが多いです。


f) 編集作業の効率化:

テンプレートやライブラリの活用により、編集作業が効率化されています。そのため、編集費用が従来のスタイルと比べて低く抑えられることが多いです。


g) リビジョン(修正)回数の明確化:

見積もりに含まれる修正回数を明確に指定し、それを超える場合は追加料金が発生する形式を取ることが多いです。


h) オプション料金の設定:

基本的な制作費に加えて、BGM制作、ナレーション、字幕追加などをオプション料金として別途設定することが一般的です。


i) 柔軟な料金設定:

クライアントの予算や要望に応じて、柔軟に料金を調整する傾向があります。例えば、クライアント側で一部の作業を担当することで費用を抑えるなどの提案をすることもあります。

これら二つのスタイルの見積もり方法の違いは、制作体制の規模や柔軟性、使用する機材の違い、専門性の度合いなどから生じています。従来のプロダクションスタイルは、大規模で高品質な制作に適しており、詳細な見積もりにより透明性の高い価格設定が可能です。一方、新たな動画クリエータースタイルは、迅速かつ低コストの制作に適しており、シンプルで柔軟な価格設定が特徴です。



小規模なスタイル
小規模なスタイル


中間スタイルの見積書


近年、この二つのスタイルの中間的なスタイルも増えてきており、プロダクションの規模や制作内容に応じて、従来のスタイルと新しいスタイルの良い点を組み合わせた見積もり方法を採用するケースも見られます。


クライアントのみなさんは、制作の目的、求める品質、予算、納期などを考慮し、適切なスタイルを選択することが重要です。また、制作者側も、自身の強みや制作スタイルに合わせた見積もり方法を採用し、クライアントに分かりやすく提示することが求められています。

今後は、AI技術やクラウドサービスの進化により、制作プロセスがさらに効率化される可能性があり、それに伴い見積もり方法も変化していくことが予想されます。業界全体として、より透明性が高く、クライアントにとって分かりやすい見積もり方法の確立が求められていくでしょう。

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