ビデオカメラが回っている時は録音もしていた昔
昔から放送用、業務用、民生用に関わらず、ビデオ専用のカメラにはマイクが付属しているか、セットになったマイクをワンタッチで取り付けられるようになっていて、だいたいの撮影現場では、編集で音を活かす活かさないに関わらず、カメラを回す時は、現場の生音も同時に録音していました。こういう音を拾うマイクを「ノイズマイク」と言ったりします。そして拾った音は「ノイズ」です。今でも言うのかな?
ノイズというくらいですから、その音は現場の雰囲気や、周辺にいた人が喋った音、何かが発した音、何から何まで入っていて、ほとんど場合、現場の雰囲気音としか使えません。
人の声を録る時は専用のマイクを
講演者の声や、インタビューの声、人のしゃべりをちゃんと録音しようとすると、必ず別にマイクを用意して、喋っている人の口にできるだけ近い位置(オンマイクという)に設置しなくてはなりません。
イベントであればPA(拡声装置)のミキサーアウトもラインでもらって、専用で立てたマイクの他に、カメラの別チャンネルに同時に録音します。
これらをやるには音声さんという専門のスタッフが必須です。
デジタル一眼レフカメラの時代がきて
さて、ご承知の通り今の時代、デジタル一眼レフカメラ(DSLR)による動画撮影が増えてきて、中にはそれ専門のカメラマンもいます。DSLRは原則的に写真用のカメラですので、動画を撮影する機能は副次的に考えられていて、ほとんどの場合マイクは付いていないし、マイクを接続する仕組み(入力ジャックなど)もオマケのようにしか付いていません。音量をコントロールする方法も不便なものです。
多くのDSLR撮影現場では同録せずに音無しで録画しています。編集で音楽を被せてしまうので「現場の雰囲気音」は無用のようです。
たいがいの現場はカメラマンひとりという現実からして、手が回らないので仕方がないこととも言えます。
音声収録の大切さを再認識
しかしDSLR映像のひとつの典型であるインタビューの場合、音声は非常に重要な要素なので、これが綺麗に録れていないと元も子もありません。
このことはさすがに最近では意識が高まってきたようで、ピンマイクやガンマイク、ミキサーを持ち込んで収録するようになってきたようです。別録機器も用意するようになりました。
ただ肝心な「モニター」(音声を聞きながらチェックする)の方法がイヤホンでは、狙った音声がクリアに適正なレベルで、ノイズなく収録できているかは、とてもわかりません。最低限密閉型のヘッドフォンで確認して欲しいもの。
リアルタイムモニタリングこそ重要
そして、音が入っているかチェックするだけでなく、録音している音が編集でちゃんと使える音なのか、リアルタイムで常時チェックし続けて欲しいと思います。
スタッフの誰かが咳払いをしたタイミングでインタビューがいいこと言ってる、なんてこと結構あります。建物の外の車のエンジン音というのは、案外拾っているものです。
余談ですが
大昔ですが、私がラジオ局のマスターでミキサーアルバイトをしていた時、調整室の裏の機器ラックの中で、いつもオープンリール録音機が4.75 cm/sec .くらいのスピードで回っていました。たしかあれを「同録」と呼んでいて、オンエアされている音声を24時間365日録音していたことを思い出しました。
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