地震速報のあとはライブ映像
昨今はテレビ放送もインターネットも、日本のどこかで地震が発生すると、ものの数分で震源地や周辺の震度の情報を文字で流します。
そして、地震がちょっと大きかったり、生放送中の番組だったりすると、テレビ画面はすぐに震源地近くに設置されているライブカメラ(定点カメラ・遠隔操作で動かせる)が記録した、「地震の瞬間」をリアルに映し出します。
最近のライブカメラや監視カメラには必ず記録媒体が繋がっていて、常時記録していますので、もう起こってしまったことであっても、スイッチを押さなくてもカメラは回っていて、ちゃんと映像は保存されているので、こうした芸当も簡単です。
揺れているのはカメラの方
さて、ところで、この「地震の瞬間」の映像には何が映っているでしょう。ほんとうに「リアル」なのでしょうか。
「いやー、すごい揺れだったんだねー」と、見た人は思うのですが、それって本当のことだったんでしょうか。カメラが記録したカメラ周辺のまちの景色の中で、何が大きく揺れていましたか?信号機ですか?電線ですか?看板ですか?
もちろんこれらもいくらか揺れていることが見て取れることもあるでしょう。でも大方の場合は、揺れているのはカメラ自体です。カメラが揺れるから景色全体が揺れているのです。
大地もカメラも揺れている
もしカメラがむちゃくちゃ頑丈な台の上に、ビクともしないくらいに固定してあったら、ああした揺れは起こらないに違いありません。だって、カメラも地震の揺れに同調してしまうんですから、景色も揺れようがありません。
すごかったことを間接的に表す
新聞社やテレビ局の報道部にも、よくカメラが置いてあるみたいですね。これらのカメラもよく地震のニュースに使われますよね。記者?が這いつくばったり、天井からつられた「報道部」の看板が揺れたり・・・。それらの様子が間接的に地震の大きさを感じさせます。
でも、これもまた地震自体(大地の揺れ)が映っているわけではありません。地震によって起こる2次的な現象を映すことで、地震のリアリティを演出しているだけです。でも見た人は、たいていそこ(映像)に地震が映っていた、と思ってしまいます。
インチキ技に気をつけよう
カメラ、映像というのは、時々こういう、ちょっとしたインチキを使います。ライブカメラは地震を写したのではなく、地震の雰囲気を映し出しているだけです。
「それのどこが問題なのだ?」
別に問題ではありませんが、人はこうした間接的な情報によって伝えられたことを「事実」と思ってしまう傾向がありますから、日頃からこうした穿ったものの見方をしておくことも大事なんじゃないかなと思いました。
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