誰でも撮って編集できる誰もが映像づくりができる今、自身の主張や表現の発露として映像を利用したくなることは当たり前かもしれません。
伝えたいのは喜?怒?哀?楽?
僕は「喜怒哀楽」のうち「怒」だけは映像にしたくありません。映像は「怒」だけは、事実以上にその感情を増幅する魔力を持っているからです。
喜怒哀楽はどのくらい伝えられるのか?
・映像で「喜」は50%くらい伝えることができます。他人の喜びを素直に喜べる人ばかりではないことと、喜びの理由は千差万別だからです。
・映像で「哀」は100%くらい伝えることができます。同情+人の不幸は・・・とやら?だからです。
・映像で「楽」は70%くらい伝えることができます。「喜」より多いのは、それは楽しさは伝搬する性質もあるからかも知れません。
「マイナス増幅」とはなにか
ところが、こと「怒」については非常に単純な感情ですから、「怒りの増幅」が容易に起こるのです。その増幅度は200%にも1000%にもなります。
どういうことか?
僕はこれを「マイナス増幅」と呼んでいます。負の感情の増幅だからです。マイナスであっても、その幅は200とか1000という「大きな落差」ですから、大きな重力を生み出します。
そう「マイナス増幅」は、「視たくないのに視てしまう(視させてしまう)」= 重力を発生させるのです。
テレビもネットも怒りばかり
ニュースバラエティのような番組では、連日心がざわつく「あおり運転」の映像が流され、Youtubeやtwitterには国会議員が個人や企業を口撃する映像が次々と・・・。まるで意図的に炎上を狙ったかような、「憎悪の垂れ流し」です。
視聴者はそんなに「怒り」が視たいのでしょうか?
たぶん視たくはないけれど、そうした映像が人を惹きつける魔力に、みなの目が吸い寄せられてしまいます。
映像のもつ「負の力」= マイナス感情増幅作用
映像制作者はこのことを忘れてはいけないと思うのです。
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