近年ではビジネスのPRのための映像を制作する場合、我々のような映像制作業者を使わず、企画・シナリオから撮影、編集まで、社内で行うことも多いことと思います。我々の仕事も、クライアント社内で作成した企画・シナリオで、撮影以降、作画、編集、録音をお手伝いすることも増えてきました。PRしたい商材やプロジェクトには、その経緯や他部署との関係性、取引先や市場など、さまざまな事情に配慮する必要があるため、外部の人間ではわからないこと、説明が難しいことが多いため、「シナリオは自分でつくってしまおう!」というわけですね。
事情を説明するのは難しい
社内事情を外部の人に説明するためには、さまざまな事情を整理して明文化する作業が必要です。そしてそれ以前に、さまざまな事情に関する会社としてのコンセンサスを形成する手続きも必要です。この段階から外部業者を交えると、さらに作業量が増えて大変です。このプロセスを自身で行えば、たぶん1ヶ月以上プロセスを短縮できるに違いありません。
情報量が多すぎる
ところが、このときよく起こることが、情報がてんこ盛りになって映像の時間(尺)が想定を遥かに超えてしまうことです。社内の事情をよく知るが故に「これは入れなければ」「これは切れない」「これは言わないと・・・」と、どんどん文章が増え、尺が伸びてしまうのです。
読みを速くしてはダメ
全体尺を短くしたい、あるいはカットやシーンの一コマにナレーションが収まらないときに、読み方を速くしてしまえ!という考えだけは起こさないでください。シナリオを書いた自分は理解できても、視聴者は初見(耳?)ですから、NHKのアナウンサーのようにゆっくり、噛んで含めるくらいのスピードでなければ、人は言葉や文脈が頭に入りません。アナウンサーの喋りがゆっくりなのは理由があります。早口言葉を練習するのは滑舌を良くするためで、決して速く喋るためではありません。もし字余りしてしまうならば、文章を短くするか、映像を長くするしかありません。
適切な文字数は1分間に250〜300文字です
これは「400字詰め原稿用紙」に、「文の頭は1文字下げる」とか「文脈を区切る時は改行する」というルールを守って書いたくらいの文字数です。つまりスッカスカの原稿です。この原稿を人の耳に届くように読むと、だいたい1分になるのです。人の脳みそはこれ以上の理解スピードをもっていないので、せっかく言いたい、伝えたい言葉が、ぜんぜん伝わらなくなってしまいますので、通常のPRビデオでは、「ナレーションは1分に250〜300文字」というのは不文律と考えてください。
視聴離脱はどうしておこるのか
動画は短尺にと言われる昨今、もうひとつよく行われるのが「無駄な言葉を省く」です。しかし、これは映像業界外の一般世間で勘違いされているのですが、短尺にしたいのは、そもそも長いために視聴離脱されないためですが、ナレーションから無駄を省く、つまり重要な情報(商品名やスペックなど)だけ残すと何が起こるかというと、ストーリーが無くなります。ストーリーがないPR動画は、情報の並列列挙となり、視聴者はすぐにに飽きて視聴離脱します。本末転倒になるのです。
シナリオが尺に収まらない時の選択肢は4つ
①ナレーションをなくし、1カットを思い切り短く、速く繋いで音楽で見せる
②伝える情報量を減らして尺を短くする
③伝える情報量を減らすと同時にストーリーを強化する(尺は変わらない)
④情報量をそのままに、ストーリーを強化して視聴離脱させない(尺はさらに延びる)
思いきって決めるしかありません。
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