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映像制作と言葉-ナレーションは子守唄

Tomizo Jinno

言葉>音声>映像


映像制作をする私が、実は日常的に感じているのは、映像よりも音、音よりも言葉を大切にしたいということです。私にとって「映像の始まりは言葉」です。


言葉が映像の土台を築く


映像は、視覚的な美しさや動きのダイナミズムが魅力ですが、その根底には必ず言葉が存在します。言葉は、映像のコンセプトを明確にし、ストーリーを紡ぎ出すための羅針盤のようなものです。企画段階において、抽象的なアイデアを具体的な言葉で定義することで、チーム全体が共通のビジョンを共有し、制作の方向性を定めることができます。脚本やナレーションの言葉は、映像の構成要素として直接的に組み込まれ、視聴者にメッセージを伝達する役割を担います。


音声が映像に魂を吹き込む


音声は、言葉に命を吹き込み、映像に感情を与える重要な要素です。人間の言葉である「声」は個性や感情を表現し、視聴者の共感を呼び起こします。心情を深く理解し、物語に感情移入することができます。また、音楽は、映像の雰囲気を創出し、物語を展開します。


映像が言葉と音声を具現化する


言葉と音声が、映像制作の出発点であるとすれば、映像はそれらを具現化する最終的な表現手段です。言葉で描かれた世界観や、音声で表現された感情を、映像は視覚的な体験として視聴者に届けます。言葉で表現された美しい風景を、映像では実際に目で見て感じることができるように表現できます。言葉と音声が持つ抽象的な概念を、具体的なイメージとして形にします。

ナレーションは子守唄

言葉を伝えるには「子守唄」がいい


私は優れたナレーターのナレーションは、子守唄のように聞こえます。とにかく心地よく、いつまでも聴いていたいと感じるナレーションに時折り出会います。私のこの「心地よい」という感覚には、様々な要素が絡み合っていると思います。


声のトーンとリズム


子守唄は、ゆったりとしたリズムと、優しいトーンの声で唄われます。この心地よいリズムとトーンが、聞いている人をリラックスさせ、眠りに誘います。優れたナレーションにも同じように、聞き手の心に響くような、心地よいトーンとリズムがあります。


感情


子守唄には、母親の愛情がたっぷり込められています。この愛情のこもった声が、赤ちゃんを安心させ、心地よく眠らせます。ナレーションも、内容に合わせて感情を込めて語ることで、視聴者の心に響き、共感を呼ぶことができます。ただし過剰な表現では子供が目を覚ましていましますから、こっそりと。そのためには全体の構成の建て付けや、演出者の意図を理解し、さらには新たな価値をみつけだす熱意が必要です。



言葉の選び方


子守唄は、赤ちゃんにも理解できるような、シンプルな詩で綴られています。ナレーションも、内容に合わせて、聞き手が理解しやすく、心に寄り添う言葉を選ぶことが大切です。難しい言葉や専門用語を並べ立てるのではなく、イメージを湧き立たせ、心に響く言葉を選ぶことで、心地よいナレーションになります。


私はシナリオも書くプロデューサーでありディレクターですから、子守唄の詩であるナレーション文章は私自身でつくります。言葉を選ぶのは私自身です。ですから、上手いナレーターさんが私の書いた詩を子守唄のように唄い上げてくれた時は、この上もない幸福感に包まれます。






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