映像制作会社に就職すると、かなりの確率で最初はこの職務を与えられます。それは後述する通り、非常に多岐で、映像制作実務全般に及ぶ作業を担うので、PMで一人前になれば、制作工程ひととおりを理解できるからです。ディレクターやプロデューサーなど、のちの進路決定にも、自身の適性を知る上で大変合理的な人事です。
PMはPのアシスタント
世帯の小さい制作会社や、予算がない仕事の現場では、PMがディレクターのアシスタントやカメラのアシスタントをすることもありますが、正式にはPMはProducerの部下であり、ディレクターやカメラマンの部下ではありません。でも現実的にはPMがAD(Assistant Director)を兼ねることも多く、AD、PMいずれも「何でも屋」であり、大掛かりなプロダクションでない限り、明確に職務を分けている現場は多くありません。
プロダクションマネージャー(制作進行)の主な職務
1.スケジュール管理
撮影スケジュールの作成と調整
各制作工程の進行管理
納期管理
2.予算管理補助
日々の制作経費の管理と記録
予算使用状況の報告
3.ロジスティクス
撮影機材の手配と管理
ロケーション確保と撮影許可の取得
交通手段や宿泊施設の手配
4.スタッフィング補助
撮影スタッフの手配と調整
出演者のスケジュール管理
5.現場管理
撮影現場での進行管理
タイムキーピング
スタッフや出演者への連絡と調整
6.書類作成と管理
撮影許可申請書の作成
日報や経費報告書の作成
各種契約書や同意書の取り扱い
7.安全管理
撮影現場の安全確認
緊急時の対応準備
8.データ管理
撮影素材の管理と整理
編集用データの受け渡し管理
9.部門間調整
撮影部門とポストプロダクション部門の連携支援
各部門間の情報伝達
10.クライアント対応補助
クライアントとの日程調整
現場でのクライアント対応
11.小規模な問題解決
現場で発生する小さなトラブルへの対応
必要に応じて上司(プロデューサーなど)への報告と相談
12.制作進行に関する報告
日々の進捗状況を上司に報告
問題点や課題の報告
この役割は、プロジェクトの具体的な実行面に焦点を当てており、プロデューサーの指示のもと、日々の制作業務がスムーズに進行するよう支援することが主な職務です。プロデューサーが全体的な戦略や大きな意思決定を担当するのに対し、プロダクションマネージャーはより実務的で日常的な業務管理を担当します。
余談ですが、映画のエンドロールを見ていると Priduction Designerという仕事が目に入ります。この仕事はProduction Managerとはまったく異なります。
プロダクション・デザイナーとは
1.視覚的コンセプトの開発
脚本を読み込み、作品の世界観や雰囲気を視覚化
監督やプロデューサーと密接に協働し、作品の全体的な視覚スタイルを決定
2.アートディレクション
セット、衣装、小道具など、作品の視覚的要素全体を統括
アートディレクターやその他のデザインスタッフを指揮
3.セットデザイン
撮影に必要なセットの設計と監督
実在の場所をロケハンし、必要に応じて改修を計画
4.カラースキームの決定
作品全体のカラーパレットを設定
各シーンや場所に適した色彩計画を立案
5.予算管理
アート部門の予算を管理し、効果的に配分
コスト効率の高いデザイン解決策を提案
6.技術的な調整
撮影監督と協力し、照明やカメラワークとデザインの調和を図る
特殊効果チームと連携し、視覚効果とセットデザインの統合を行う
7.歴史的・文化的研究
作品の時代設定や文化的背景に関する詳細な研究
正確で信憑性のある視覚表現を実現
8.スケッチとビジュアル資料の作成
コンセプトアート、スケッチ、3Dモデルなどの視覚資料を作成または監督
これらの資料を用いて、他の部門やスタッフとアイデアを共有
9.チーム管理
アートディレクター、セットデコレーター、小道具製作者など、デザインチームを統括
各メンバーの役割と責任を明確にし、効率的な作業環境を整える
10.問題解決
制作過程で発生する視覚的な課題に対して創造的な解決策を提供
予算や時間の制約内で最適な妥協点を見出す
11.品質管理
制作されたセット、小道具、衣装などが設計通りに仕上がっているか確認
必要に応じて修正や調整を指示
12.新技術の活用
CGやバーチャルプロダクションなどの新技術を理解し、適切に活用
従来の手法と新技術を組み合わせて、革新的な視覚表現を追求
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