映像制作会社のWEBマーケティング
WEBサイトで映像制作を受注しようと考えるプロダクションが増えてきました。
かく言うこのサイトもそのためのものなんですが。
試写の回数を条件設定する
他社さんのページでよく見かけるのが「試写は2度まで」とか「何回でも」という文言。
誰でも一発納品は嬉しいものですが、1箇所も修正意見が出ないというのも、なんだか期待されていないのかと勘ぐりたくなります。
逆に、何度も何度も、あとからあとから修正指示が出てくると、ちょっと参っちゃいます。
スムーズな納品の場合
僕の場合3-4度目くらいの試写でOKがでます。
2度の試写でバッチリOKというのは最高です。
それは、1度目の試写でテーマもコンセプトも間違いなく表現されていて、修正ポイントは「ここに映っている人の顔をぼかして」とか「このカットの社員、辞めちゃったので削除して」というような、こちらのミスとは言えないような内容程度ということ。こうした修正は必ずあります。
これだけで2度の試写なんですから、上記の「試写は2度まで」と謳っている会社は、相当自信があるのだなと思います。
じゃあ「何度でも」というのは、どうなんだ?とも思うけど。
試写時に音声が入っていない!?
WEB動画が隆盛する前は、ナレーションを入れない映像というのは多くありませんでした。どんな映像でもナレーションがあるのが当たり前でした。でも、初回の試写は映像だけで、音声はなしというのがアタリマエでした。
音楽も効果音もナレーションも入っていません。せいぜい撮影時に生録した現場音が時々入っているだけです。(もちろんイベント記録とかは、現場音は全部入ってますよ)
信じられないでしょうけれど
今なら「こんなんじゃわかるわけない!」と言われるでしょう。
当時はそれが当たり前でしたから、それで分かる範囲で「OK」とか、「ここ直して」とか指示をいただいていました。そして、何度かの試写、修正の後、映像が完成したら、次に音声関係の作業に入るという流れです。
昔の発注担当者は
ナレーションの内容やトーン、音楽などがどうなるのかわからない段階で、映像については完成させなくてはならなかったのです。ナレーション原稿も文字数や構文が変わるような修正、変更は、映像が完成したあとは許されません。映像の編集に影響が出るからです。
録音に入ったら映像はいじれない
また、音声関係のスタジオに入ってから、映像を見て「あ、ここ直したい」と言われると「どうしてもですか?」とお聞きして、「どうしても!」となると、修正内容によっては録音作業を中止、延期してもういちど編集スタジオに戻って作業をし直すわけです。
当時は編集、録音はまったく別の設備とスタッフで、工程が明確に分かれていました。しかも「時間3万円」とか「5万円」という高価な作業でした。こうした「手戻り」、ナレーターやスタジオのキャンセルフィー、編集スタジオの追加費用はすべてお客様持ちです。
(プロダクションがこれらを負担していたら、利益が吹っ飛んでしまいますから。)
ただし、せいぜいい「実費」しか請求できませんから、お客様もプロダクションも疲労が増すだけの、辛い事態でした。
制作会社にとってありがたい面も
録音はもちろんお客様の立ち会いは必須でした。
映像だけ完成したものに、音楽を選曲して入れ、それを聴きながら(映像を見ながら)ナレーションを読んでいく時、関係者はその時初めて作品としての映像(音付き)を観ることになり、お客様のみならず、僕ら制作スタッフも少なからず感動したものです。つまり「シャンシャン」となり、お客様も大喜びで、すんなり納品になるのです。
ずいぶん横暴な?
制作工程に甘んじて制作を発注されていたお客様たちなのですが、そのぶん、プロダクションには「営業担当」がいて、至れり尽くせりのフォローでお客様と親密なコミュニケーションを構築していたと言えます。今の時代では、映像制作の仕事に営業専任担当者がいるのは数少ない大手制作会社くらいのものでしょう。
その人件費を省いて、コストは制作に関連することだけに集中させることを、お客様も望んでいます。
「信頼」は作品でいただくしかない
映像制作業界のみならず、あらゆるクリエイティブ業界で、こうした営業コストは省くのが常識になったようです。けれど、そのぶん、「試写」「修正」の作業が際限なく繰り返される傾向にもあるようで、コスト削減につながっていないような気もします。
かつて営業担当者が飲めや歌えやでいただいていた「信頼」は、今はお客様に納品した作品への満足度でいただくしかない時代だと、心しています。
Comentarios