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Tomizo Jinno

映像制作案件・アニメーションに騙されるな!

「実写」あるいは「アニメーション」で

と問い合わせ(見積相談)を受けることが、よくあります。IT系や医療系、あるいは士業ビジネスなどのPRは、撮影対象に困る(よく言う「絵にならない」という典型的事例)ことが多いので、撮影できないことは「アニメーションなら叶うのでは?」という連想をされるのだと思います。


「画にならない」ということ

それは、モノが無かったり、カタチが無かったり・・・、「概念」「ソフトウェア」「ソリューション」がビジネスの核になっているため、いざ映像にしようとすると、もやもやとした雰囲気しか想像できず、具体的な画像を描き出すアイデアが浮かばいことを言います。例えば情報システムのPRを想像してください。そのシステムがロボットを動かすものであれば、コンピュータのキーを叩いて、ロボットが動く映像を見せればいい、と思うでしょうけれど、逆を言えば「それしかない」ことが問題になります。


PRするコトの本質を画にするのが難しい

情報システムの役割は、ロボットを動かすという直接的なことよりも、むしろそれによって実現できる生産システム全体の効率化や、物流世界を巻き込んだ進化だったりします。では、それを撮影すればいいのでは?とお思いになるでしょうけれど、実際にそうしたシーンを撮影するには納入先(クライアントのお客さん)に撮影協力をお願いしたり、まったく別業界の企業に協力を仰ぐことになり、費用も時間も膨大になるため、費用対効果が合わず、現実的には、非常に難しいものなのです。


そこでアニメ!?

実写で撮れないからアニメで、と考えると、実写で想定する絵柄をそのままイラストに置き換え、動かせばいいのでは?とお考えになることでしょう。しかし、そうしたリアルなイラストを動かすアニメーションは、実写よりも更に予算が掛かります。その割にリアリティがないので、PR効果はいまいちです。大概は高額な予算に驚かれて、こういう手段は実現することはあまりありません。


アニメーションならなんでもいい?

「お客さんがアニメーションで」と言うとき、多くは上記のようなリアルタッチのアニメーションを想像されています。ところが提示される予算は、実はそのようなアニメを制作する費用とかけ離れています。そうすると、中には「アニメなら(なんでも)いいですね?」と勝手に解釈して、漫画チックでチープな絵をピコピコと動かして「はい、アニメです」という、姑息な仕事をする映像プロダクションがあります。

これもアニメ?
これもアニメ?

新型コロナ禍で増えたアニメCM

先日テレビで実際に上記の例を視てしまいました。広告出稿予算ではたぶん年間億単位を使っている有名英会話会社ですが、登場するキャラのイラストはレンタルもの、動きはgifアニメ(のよう)、ナレーションで言いたいことは全部言っているのだと思うのですが、視聴者には結局何も残らないばかりか、ブランドイメージはまったく違うため、どこのCMだったかもわからないようなものでした。

たぶん制作には広告代理店がかまず、企業直で発注したものと推測できますが、「ちょっとこれはないな」というものでした。


「アニメ」にはいろいろある

映像制作者は、アニメーションという映像手法を、ものすごく広範に捉えています。

文字や記号を画面の左から右に動かしただけのもの

イラストで描かれたキャラがパラパラ漫画のように動くもの

図表のグラフが伸びるもの(2D、3D)

画面内に描かれたグラフィックデザインや、アイコンが動く

2Dで描かれたキャラクタが2次元的な動きで芝居をする

3Dで描かれたキャラクタが3次元的な動きで芝居をする

手書きで描かれた画像やキャラクタが、連続するなめらかな動きで芝居をする

エトセトラエトセトラ


「そんなのアニメじゃない」

と言われるものもあると思いますが、我々映像制作者に相談されるさまざまなお客様が、これらをそれぞれ「アニメ」と呼ばれるので、我々としてはすべての可能性を想像しながら、お客様のお話を伺う立場ですので、こうなるわけです。

ですから、「アニメで」と言われると「例えば、ネット上にあるどのようなタッチのものをお考えですか?」という訊き方で、お客様が考えておられる「アニメの定義」を、まず探ります。次に「ご予算は?」。

お客さんが考えているアニメと、ご予算を伺うと、まずはそのご希望プランが実現可能かどうかわかります。


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