採用難と売り手市場
昨今は採用難が著しい一方で、キャリアを積んでいるみなさんは、機会があれば転職することもそう特別なことと考えていないようです。また一方で、会社の行末や自身の処遇について心配で夜も眠れない・・・という人も少なくないようです。
目指すのは川上
上昇志向の転職の場合に、多くの方が目指すのが「上流」です。
で、リストラされることが心配な人は、自分が「下流」に落ちることを恐れている・・・。
ひと昔前の「上流」階級は、「お金持ち」とか「地位が高い」ことでしたが、今の上流は「仕事の発生源」となっている企業や団体、お役所のことのようです。
つまり「下請け」から脱して「元請け」「発注者」へと登っていくことが、キャリアアップのひとつの典型のようです。
指図する人される人
仕事の現場の視点で言えば「指図される人」から「指図する人」になりたい。
大かたの場合、指図される人より指図する人の方が給料も社会的にも地位が高いので、転職の意義としてはあたりまえのように思えますが、昨今はどうやら給料や地位よりも、その「先図する人」になることが、社会的な成功者と考える人も多いようです。
指図される人から始まる職業人生
若い時には、相手が誰であろうと自分は「指図される人」であることは当たり前でしたが、年齢や仕事内容の変化に従って、指図する相手も増えてきました。自分が「指図される人」であることは、決して楽しいことではありませんが、かと言って「指図する人」になるのは、その仕事についての技術の上達や知見の増量、実績の積み重ねがあった先に訪れる立場であって、大した技量も持っていないのに、その立場だけを欲しがっても、誰もくれませんし、だいいち手に入れてもそんなやつの言うこと(指図)を、聞くやつなんていない・・・そう思って生きてきました。
ひとつの例
たしかに、知見も技能もなくても「放送局員である」というだけで、「指図できる私」を誇っている人はたくさんいました。
制作会社を「下流」と考え、発注者である放送局は「上流」であるという意識。だから、そこにいる「自分は上流(階級)」と思う人がいることは、昔から薄々知ってはいましたが、今の時代そうした傾向が、どんな業界にも浸透しているようで、上流へ上流へ目指すこと、それこそが「向上」であると考える人が増えているということでしょう。
「ストレス社会のヒエラルキー」
よりストレスを感じない立場が上級階級・・・実は幻想だけど
「ストレス保存の法則」
ストレスはピラミッドの上から下へ順送りされ、決して消滅しない
大きな組織に属したことがない僕が、昔から組織社会を観察していて思うことです。
AIが仕事を奪う
最近よく言われます。
「技能も経験も実績もなく指図だけする」
これ、いちばん最初に消える仕事じゃないですか?
「指図する人になる」「上流に行く」どちらも、ちょっとやばくないですか?
映像制作業界の場合
映像をつくる方法を知っていて、その技能を持っている、そして仕事も持っている。
映像制作の仕事世界において、これが最後まで残る人だと、僕は信じています。
指図する人ばかり沢山いたって、映像は出来上がってきません。
「俺の空」
昔読んだ漫画本に「俺の空」(本宮ひろし)というのがあって、その中のエピソードに、主人公(安田財閥の御曹司)が剣道で日本一になった時に、おばあちゃんが「(なんの後ろだてもなしで)裸一貫で一等賞がいちばん偉い」というセリフに、いたく感激(平民階級の僕は励まされ?)以来、僕は組織や団体に所属する自分の「地位」誇ることを「男として恥ずかしい」と思う様になってしまいました。
安田一平は御曹司だからこそ、安田一平という価値によって、なんでもできたんですけどね。
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