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映像制作現場のショットとカットはどう違う?

Tomizo Jinno

映像制作現場の用語に「ショット」と「カット」という言葉があります。ほとんど「カット」しか使っていない人もいると思います。この2つの言葉、本来は異なる意味を持ちますが、実際の現場ではかなり適当に使われていると思います。あなたはこの二つを使い分けていますか?そんなのどっちでもいいですか?



教科書的な意味


映像の教科書を開くと、だいたいこんな説明が書かれています。


ショット

カメラを回し始めてから止めるまでの一連の映像のこと


カット

編集作業で映像と映像をつなぎ合わせる際の区切り、あるいはその結果できた映像の一単位



欧米における SHOT と CUT


欧米の映像教育や業界において、「shot」と「cut」は、明確に区別されて使用されるのが一般的です。


SHOT

カメラが回し始めてから止まるまでの、連続した映像の一単位を指します。撮影現場で一度に撮影される映像の最小単位であり、編集の前の段階から意識される概念です。


CUT

複数のshotを繋ぎ合わせる編集行為、またはその繋ぎ目、またはその結果できた映像の一単位のことを指します。編集によって映像が切り替わる瞬間であり、作品のテンポやリズムを決定する重要な要素です。


欧米では、映画学校や専門書などを通じて、これらの用語の定義や使い分けが体系的に学ばれます。そのため、映像制作に関わる人々は、意識的に「shot」と「cut」を使い分け、作品の構成について深く議論することが一般的です。


ショットとカット
切り取った


日本の映像制作現場における現状


混同されているケース


「shot」と「cut」を多くの人は、明確な使い分けをしていません。あるいは「cut」しか使わないという人もいます。経験の浅い者や、映像用語に詳しくない人は、両者を同じ意味で捉えている傾向があります。


意識的に使い分けているケース


一方で、映像理論や映画史を深く学んだ経験を持つ人や、海外の映像制作に触れる機会が多い人の中には、両者を意識的に使い分け、作品の構成について深く考えている人もいます。


日本の場合、映像制作に関する教育や情報が欧米ほど体系化されていないこと、また、長年培われてきた独自の映像表現があるからかも知れません。



実際の現場での影響


こうした言葉の使い方の違いは、実際の現場でどんな影響があるのでしょうか。


コミュニケーションへの影響


普段の撮影や編集作業では、ほとんど問題になりません。状況を見れば、相手が何を言いたいのかすぐに分かるからです。ただし、次のような場面では気をつける必要があります。


  • 海外スタッフと一緒に仕事をするとき

  • 企画書や説明書を作るとき

  • 新人さんに教えるとき



現場での工夫


現場では、こんな工夫をしているのではないでしょうか。

  1. 書類を作るときは、どちらかの言葉に統一する

  2. 会話するときは、相手の使う言葉に合わせる

  3. 大事な指示を出すときは、言葉だけでなく具体的に説明を加える



どうすべき?


私はクライアントや一般の人とお話するときは「カット」、相手が職業映像制作関係者で、かつ2つを使い分けて理解している様子でれば「カット」と「ショット」を使い分けます。要は相手に合わせます。このサイトの記事は原則的に一般向けとして書いています。


最近は撮影の仕方も編集の仕方も、どんどん新しくなっています。スマートフォンで撮影から編集まで完結することもあれば、AIを使った編集ツールも登場しています。こういった変化の中で、「ショット」と「カット」という言葉の使われ方も、また変わっていくかもしれません。大切なのは言葉の使い分けよりも、現場でのスムーズなコミュニケーションです。相手が何を言いたいのかを理解し、自分の意図もしっかり伝える。そのために、状況に応じて適切な言葉を選べることが、職業映像制作者には必要です。



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