「作画」
こう書くと古臭いですね。映像づくりがフィルムで行われていた時代には、この分野は「線画」と呼ばれ、描くクリエーターは「線画屋さん」でした。大手の映画会社は「線画部」と呼ばれる部署を、自前で持っていました。
以前は「フリップ」と呼ばれた
B4横くらいの大きさの厚紙で、線画屋さんはディレクターのラフ画を、手書きで綺麗なイラストに仕上げました。静止画ならそれ1枚をムービーカメラで撮影しました。ちなみに字幕(テロップカード)の作成も線画屋さんの仕事でした。
アニメーションさせる場合は、その厚紙の上に薄い透明アクリルを何枚も重ね、少しずつ動いた絵を描きます。撮影は1枚1枚コマ撮りし、最終的に編集で連続させてアニメーションにしました。
イラスト+アニメーション
現在の映像制作プロダクションでは、イラストはイラストレーターと呼ばれるフリーランスのクリエーターに発注することが大半です。イラストは、画像データで受け取ります。イラスト業界は現代にあっても、非常に雇用環境が悪い世界なので、けっこう驚くような安値で発注されていることもあります。
いっぽうで、有名なイラストレーターや漫画家にオリジナルで絵を描いてもらえば、相当な高額になることはおわかりいただけると思います。しかし、すでに世間に知られている絵のタッチや画風のイラストは、訴求力では大きなチカラを持っています。
イラスト外注費は予算を引き上げます。BtoBのPR映像のようなお硬い仕事では、イラストと言うよりは、ブロック図、フロー図のようなスクエアな図柄が必要とされるので、いくらか技量があれば、ディレクターやエディターが、パソコンを使って自分で描くこともでき、実際に僕も自分で描きます。
静止画のイラストを動かす方法はいろいろあります。昔のように少しずつ動かした絵をコマ撮りする方法は、イラスト点数、編集工数が非常に多くなりますので、よほどの予算がない限りBtoB仕事では使わず、大方はコンピュータで描いたイラストを、コンピュータの中で動かして出力(動画化)します。これを可能にするソフトウェアは様々にあり、それぞれに可能なこと、手間数がお大きく異なり、アニメーションとしての品位が高くなるほど、やはり高額な費用が必要です。
平面に描いたイラストは、当然二次元画ですので、こうした手法でつくられたアニメーションは「二次元アニメーション」と言います。「インフォグラフィックス」と呼ばれるものも、これに含まれます。
CG+アニメーション
CGというと、なんとなく“3D”で、“メタリック”な印象を持つ人も多いでしょう。CGという言い方は、人によって範囲・解釈がバラバラですが、上記の「(二次元)イラスト」だって、今はコンピュータで描きますから、二次元であろうと三次元であろうと、“Computer Graphics”であることには違い有りません。でも、一般に制作会社の人間が「CGで作画します」と言った場合、コンピュータソフトとして“(三次元)CGツール”を使って作画し、動かすことを言っていると考えたほうがいいでしょう。
社内にCG部門を持っている映像制作会社もありますが、多くの制作会社は、この部分も外注します。CG映像の品位は、まさにクリエーターの技量とセンスに負いますので、高度でかっこいい世界観でCGを描き出すCGクリエーターは引っ張りだこで、ギャラも高額になりますが、実際にその作業量は膨大で、日当に換算すれば法外というわけではありません。いっぽう安くて、どんな仕事も気軽に引き受けてくれるクリエーターは、作画のセンスがいまいちで、それを動かすともっとダサいことも多いので、注意が必要です。
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