ここでは、映像と同期して聞こえてくる音声をつくる制作プロセスをすべて「録音」として考えます
1.撮影時に同時に収録する音声
・進行役の声
・出演者/インタビューを受ける人の声
・その場所の生音/ノイズ
それぞれの音源対象に対して、特性に合わせたマイクを用意し、ミキサーで調整した音声を、記録する動画ファイルの音声トラックに送り、録音します。カメラマンは画像の収録に集中していますので、音声については音声専門のスタッフが担当します。間違いなく収録しているかどうか、リアルタイムにモニターすることが大変重要です。音量調整を機材の自動機能にまかせておくと、思わぬ歪が発生していることがあるからです。音声機材、スタッフの費用はカメラ、カメラマン同様に必要です。
2.音楽・効果音
最近では音源を試聴・購入することができるWEBサイトが多数運用されていますので、楽曲も効果音もとても安価に入手可能ですが、「選曲」という仕事は単に「BGMを選ぶ」ということではありません。音楽、効果音は映像のシナリオ展開を補助ないしはリードする役割をするものですから、映像シナリオをよく理解できる専門のスタッフが行うことで、一味も二味もレベルアップした映像をつくることができます。
CMや映画では、音楽をオリジナルでつくって使用する場合があります。作詞、作曲、演奏を事前で行うわけですから、そういたギャラに加えて、録音スタジオなどの費用も加わり、数十万円〜数百万円と高額になります。
3.MA
Mixing AudioとかMastering Audioの略だと言われますが、僕は後者を支持します。
ナレータや声優の声を録音し、1や2で用意された音源とミックスして1つの音声データにします。声の録音は編集済みの映像を流しながら、映像のタイミングに合わせてディレクターがCueをだし、ナレータ(等)が発声、声のトラックをつくった後、撮影時に収録した音声、音楽などと1本化するという段取りです。
“MAスタジオ”は、制作会社が自前で持っていることは稀で、普通はポストプロダクションを利用(レンタル)します。映像機器と音声機器を「同期」させて作業ができる設備を備えているため、録音だけのスタジオよりも少し高額になります。
スタジオ費用と技術者の技術料は、スタジオごとに時間単価で決まっています。制作者は制作する映像の尺や原稿量、作業量からレンタルする時間を推計して予約。クライアントに立ち会ってもらいながら、作業を進めるのが一般的です。立ち会い無しで行った場合、原稿の読み間違いや調整にミスがあった場合、作業を再度行わなければならなくなる可能性が高まり、時間も費用もロスが発生します。

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