「お客様は神様です」
そう言った三波春夫さんは、もともと全てのお客様が神様だと言ったつもりは無かったとか。じつは映像コンテンツも、どんな時でも視聴者を神様と思っているかというと、それは「否」です。もちろん弊社にとってお客様は神様です!この文を最後まで読まずに早合点しないでくださいね。
視聴者はお客様とは限らない
少し砕いて書くと、映像を作る(我々制作会社にとっての)お客様・クライアント(=制作者)は、どんな場合もその映像を見る人々=視聴者を「お客様」扱いしているわけではありません。
そんなこと当たり前だ!?
それがそうでもないんですよ。B2B映像というと、視聴者に阿る(おもねる=気に入られようとする)ことが当然という先入観を持っている人が、映像制作業者にもけっこういるんです。
主語と「もの言い」
ふつう私たちB2Bの映像制作会社は、クライアントの立場でコンテンツを作りますから、当然クライアントが主語となり、「もの言い(言葉遣いや言い回し)」はその映像コンテンツの視聴者がクライアントのお客様であれば、親切丁寧で「わかり易い」ことに留意しますが、社内向けであったり、業者向けであれば、わかり易いことはある程度留意しますが、短い時間の中で伝え切るためには、「親切丁寧」であることよりも、情報に漏れがなく、公平であることを重視します。
不親切はあたりまえ
先回の記事「B2Bの企業映像はどうしてダサいのか!?」にも書きましたが、このように、もともと親切にしようと思っていない映像コンテンツを、その対象者では無い人が見れば「不親切な内容だなあ」と思って当然です。
チカラ関係によって伝え方は違う
もともと制作者と視聴者の関係が上下関係にあるならば、映像のつくり方もそのチカラ関係の力学を利用して、視聴者への効率的な情報・意思伝達を行います。求職者や取引きを希望する会社であれば、情報は本来自分から取りに来るべきものだからです。
巷は阿る者ばかり?
ところで、最近の家族の親子関係について、親が子供に舐められているという見方もされていますし、企業の中でも上司が若い部下の機嫌をとっていることが問題になっています。それらの結果として、社会における人の上下関係が薄れ様々な弊害を起こしているというのは事実でしょう。
関係性をハッキリさせてものを言う
ここでそうした状況を論評することは避けますが、映像を創作するという作業は、映像の「主語」と「もの言い」をきめ、視聴者と制作者(施主)との関係性を定義することから始まります。特にB2Bの映像は、制作者であるクライアントと視聴対象の団体や人々との関係性は一筋縄ではいきません。この設定を間違えたり、曖昧にすると、誰が誰に宛てた映像なのかわからないばかりか、視聴者を怒らせたり、時には立場を勘違いさせてしまいます。現実社会には厳然と上下関係があり、その力学の上にビジネスは成り立っていますので、この齟齬はとてもザンネンな結果をもたらします。
映像制作者の責任
「映像の主語ともの言いをきめる」この作業はとても重要であり、同時に非常に危険なチカラを持っていることを、映像制作者は心しなくてはなりません。
映像制作はもっぱら視聴者に阿るための仕事でもありません。
え?何言ってんだかわかんない?それは問題です。
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