できないことではない、が
先日ご相談いただいたのが「1週間で商品PRビデオをつくれないか?」。
撮影さえ終えれば、ゴールである納品まではそれこそ3日でも終えられますので、撮影→編集→試写・修正→録音・納品を各1日で済ませられれば3日です。これは実際に稀にあることです。しかし、撮影までに企画、シナリオを完成させるプロセスはこうはいきません。
共通認識と信頼関係
制作期間の短縮が可能なのは、お客様が制作者を全面的に信頼していることが前提です。また、制作者がお客様のこと・・・商品のこと、会社のこと、市場のことなどをぜんぶ理解していて、お客様と共通認識を持っていなくてはなりません。
初対面の方が・・・
最近の傾向は、初めてのお取引の会社が、2週間とか、1ヶ月での納品を前提にお話を持ち込まれることが多くなりました。たしかに実際の制作作業・・・、シナリオ作成、撮影、編集、試写、録音・・・は各作業は1日とか数日で可能ですので、それらの日数を足して、小規模な映像制作ならば7日もあれば可能です。
でも現実には、「シナリオ」の作成ひとつをとっても、一般的な会社であれば、窓口の方との打ち合わせ→下調べ→現場の方への取材・シナリオハンティング→シナリオの作成・提案→ご検討・修正指示→打ち合わせ→修正→シナリオ再提案→ご検討・社内承認手続き・・・を経てようやく完成します。さらにシナリオが完成すると、具体的にどんな映像を撮影し、どんなCG・アニメを作するか打ち合わせをし、お客様には撮影の可否を含めて調整いただき、必要であれば絵コンテを作成し、提出します。
シナリオ完成までは約1ヶ月
通常の会社ですと、このプロセスに早くて2週間、一般には1ケ月程度必要になります。
「撮影」以降のスケジュール
さらに撮影に関する日程調整やロケハン、撮影機材、スタッフ準備にも時間が必要で、これも短くて1週間、周到な準備が必要な撮影では2週間から1ヶ月くらいの準備期間が欲しいところです。
編集作業は短い(1、2分)のものならば1日でたぶん終わりますが、少し手の込んだ編集(アフターエフェクトやモーショングラフィックスなど)をしますと、数日必要になる場合もあります。
「編集→試写→修正編集→試写」が繰り返される
編集を終えると試写をしますが、お客様が「1発OK」を出されることはまずありません。「良い・悪い」以外でも、様々なご都合がありカットの削除やら入れ替えを要請されることはあたりまえにあります。修正を行えば、また試写です。最近はWEB上で試写を行うことが多いので、日程調整を行って訪問して行うことは減りましたが、WEBで行うにしても、お客様の担当者がほかのお仕事で忙しければご覧いただくまでに数日掛かることもあります。試写→修正→試写というプロセスは幾度か繰り返され、都合2週間くらい(以上)掛かることになります。
考える時間
1週間という制作期間(納期)が、いかに相互理解が必要かおわかりいただけると思います。ご希望する映像を実現するには、映像制作工程の要所要所で制作会社への意思伝達を事細かに行い、意思疎通をは図る必要があります。
さらに、我々にも「考える時間」が必要です。
映像制作における「時間」はとても大切なものです。
1週間で完成させた例
ある印刷会社の商品バラエティを紹介するPR映像を制作したいと相談されました。
1週間後に始まる展示イベントのブースで流したいという理由からです。
この会社の社長は学生時代の同級生、気心の知れた友人で、この案件の発案者も彼で、制作するなら自分で窓口をやる、と言いました。ならば、ということ私が提案した方法が以下です。
担当窓口だけでなく、コンテンツの企画に関する指示、判断はもちろん撮影の立ち合いも社長自身でお願いしたい。
今からオリエンテーションしてくれたら明日、シナリオ案を提示するから明後日までにフィードバックして欲しい。
コンテンツの演出手法はレポーター(顔出し)による商品紹介、説明とし、ナレーターは使わない。喋る内容は確実にシナリオでフィックスして撮影時点で収録した内容は、以降変更が効かないことを了承して欲しい。
今日から4日目を撮影日とし、シナリオのドラフトは第2稿まで。それまでにシナリオは確定する。香盤表は第2稿提案時に一緒に提示するので、すぐに撮影物、撮影場所の手配を社内に根回しして欲しい。
撮影の翌日(5日目)に編集するので、その日の夜には試写できるようにする。
6日目の午前中にフィードバックをもらい、その日のうちに完成させる。
こうした方法はクライアントと「ツーカー」でなければできません。短納期がいかに綱渡りか、わかっていただけると思います。レポーター式の構成にしたのは、クライアントから修正を言われても直しようがないことと、シナリオに沿って迷うことなく繋いでいけるので編集時間が短縮できることが理由です。友人相手でなければ、こんなわがままなかなか言えません。
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