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認知バイアスとPR映像のシナリオ

Tomizo Jinno

認知バイアス

僕らが日常的に経験、ないしは観察することが多いのは「正常バイアス」と「確証バイアス」です。


正常バイアス

目の前で起こっているいる危機的状況を、正常だと思い込もうとすることで安心感を得たいという衝動。


確証バイアス

思いついた仮説を裏付ける情報だけを集めて、仮説を確信に高めようとする衝動。

認知バイアスとPR映像のシナリオ
by Microsoft Designer

広告宣伝に利用するバイアス

前者の「正常バイアス」は、これは宣伝用のシナリオにはあまり利用しないと思いますが、後者の「確証バイアス」は、安手の企業PR映像やテレビショピング、マルチ商法紛いのビジネスのPRで頻繁に見られるシナリオ手法です。

仮説(商品の特長)を裏付けているように見える、細かな事実を次々に羅列することで、まるでネガティブな事実が無いように印象付けてします。


未成年向け

だが、この方法は視聴者の社会経験が少なければ有効ですが、少々経験を積めば「何で、良い話しかないのか?」という疑念を持ち、すぐに抜け落ちている情報の中に重大な問題があるのではないか、という想像に辿り着きます。


ちょっと巧妙なシナリオライター

ならば、そう大きな問題では無いネガティブな情報をひとつふたつ盛り込むことで、賛否両論を公平に提示しているかのよう装って、結果購入を選択するように仕向けます。


もっと巧妙なシナリオライター

は、そういう事実誤認に誘導するような映像づくりには加担しない。

正しい事実を伝えることがアピールにならないならば、その商品の価値は低いわけでから、その価値に見合った機能と値段であることをアピールして、最低限その機能を安く手に入れたい人には買ってもらおうとする。そもそも商品の機能に大きな期待をさせないし、安いのでクレームも少なく、それなりに継続するビジネスにつながる・・・と考えます。


「3密回避」にみる正常性バイアス

新型コロナウィルス感染症対策で、しきりと叫ばれた「3密回避」について、人々の行動や意見に、様々な角度からバイアスが掛かっていたことを思い出します。

避けるべき密閉、密接、密集について、みんなわかってはいるものの、いざ自分がその状況に遭遇しても、「自分に限って大丈夫」「友達だから大丈夫」という根拠のない理由をつけて、その場を過ごしてしまうのは、人間の「正常性バイアス」の典型と言えるでしょう。


確率的に低い=絶対にない、ではない

新型コロナウィルスについて、メディアから伝えられる感染者数や死亡者数は、かなりの数字になったとは言え、人工対比の単純な確率で言えば数%にも満たない中に、こういう場合に限って「自分がその中に入るわけがない」と、自分に都合のよい解釈をします。正常性バイアスとは「社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。」(出典:Wikipedia )という、まさにこれに当てはまります。


バイアスは誰にでも掛かっている

例えば、人は宝くじを買うと最初「自分に限って当たるかも知れない」という、とてつもない妄想を抱き、抽選結果が発表されると「宝くじは絶対に当たらない」というを確信を持ちます。たぶん誰もが経験する認識や感情の流れです。

しかし、現実には宝くじはほとんどの人はハズレますし、当たる人には当たります。ですから、「自分に限って」も「絶対に」も、いずれも間違いです。


都合が良いのが人間?

人はなぜこうした認識に「間違い」を冒す(犯す?)のでしょう。やはり簡単な話し「目の前の事実から目を逸らし安心したい」のでしょう。

事実を事実として真正面から捉えることは、時に精神を不安定にしますから、人としての精神衛生を保つための心の作用なのでしょうけれど、こと他人様が関わっている事実の認識については、正しく受け止め行動に移さないと迷惑を掛けます。


PR映像のシナリオはバイアスを利用する

映像シナリオを書く者として、人が持つ感情や認識についてのバイアスのことは、いつも脳裏に置いています。人間の心のバイアスは、例えば「先入観」を逆手にとった効果的な映像シナリオづくりには役立つものです。

でも、現実の社会ではあまり快いものではありませんので、自分の心が持っているバイアス傾向については、いつも注意を払って修正しています。



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