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Tomizo Jinno

B2B映像のシナリオ今昔・絵コンテの功罪

B2B映像のシナリオとお芝居のシナリオ

B2B映像のシナリオを目にしたことがある人は多くないでしょう。では、お芝居のシナリオ(脚本)と言うと、誰でも目にしたことがあるように思うのは僕だけでしょうか。僕の場合、たしか小学校の催し物で木下順二の「夕鶴」をクラスの出し物にして、舞台制作をした記憶があります。脚本には「役者の名前」「台詞」「ト書き」くらいしか書いてなかったですよね?

舞台設定は最初のページに簡単に書いてあって、進行に合わせた照明、音楽、効果音など、そうした演出要素については、舞台の制作が進んでいく過程で、演出担当の要望を聞きながら、それぞれの担当が書き込んでいったように記憶しています。

 

プロ用のシナリオには絵コンテは描いてない

話は飛躍しますが、映画やテレビドラマといった映像のシナリオは、打ち合わせ段階ではプロの制作スタッフが読むことを前提とした書類ですから、絵コンテのような画像は原則として付けられていません。文字だけを追って、それぞれが映像をイメージして読み込んでいきます。シナリオライターが絵を作り込んでしまうことは、演出家やプロダクションデザイナーの裁量を犯すことにもなりますし、餅は餅屋の才能を存分に発揮して、才能を持ち寄ってこそ総合芸術としての映画・番組になる、ということだと思います。

 

昔のB2B映像のシナリオは文字だけ

実はB2B映像の世界でも20世紀末までは、シナリオは文字だけ。「映像」と「ナレーション(台詞)」、そしてせいぜい「音楽(1)入る」くらいの、テキストだけでした。しかも映像の欄には「社屋外観」とか「商品カット」としか書いてないのです。プレゼンの時くらいは、その映像づくりに関する意義や意気込みといった精神論を文章にしたページを、シナリオの前につけたりしたものです。たったそれだけの提案書類と明細見積書(かなりアテズッポ)だけで、大手のプロダクションなら一千万から数千万円の予算を獲得していました。

 

今では絵コンテは当然!

それが今、企業VP(ビデオパッケージ=企業映像全般)は、提案活動初回からイメージコンテ付き、というのはあたりまえの時代。画像を添付しないと「よくわからない」「イメージ湧かない!」と付き返されてしまいます。

でも企画の初期に絵が決まっているということは、ディレクターもカメラマンも美術さんも、みなそのイメージを再現すればいいわけで(というより再現しなくては許されない!)、彼ら制作スタッフのアイデアや才能はほぼ生かされません。また、企画書をつくったプランナーやライターは、実は映像のプロとは限りませんので、カッコよく描き込んだ絵コンテが、映像として再現可能か、ほんとうにカッコよくなるかは保証できないのです。プレゼン期間も短期な今は、事前に制作現場と相談する機会さえ十分にはとれないのが実態。

 

高度なクリエイティブをアウトプットさせるには!?

企業PRや商品CMを発注するクライアントにとっては、社運が掛かったプロモーションとして、確実に意図した映像を納品してもらわなければならないこともよくわかりますが、プロダクションには、もっともっと高度なクリエイティブをアウトプットさせた方が得だとも思うのです。

映像のプレゼンシナリオには絵は要らない、とは申しませんが、企画の段階での絵はあくまでイメージとして捉えて、制作プロセスで様々な才能が集まって、イメージが進化、洗練されていくことを、ある程度許容する度量をもって制作発注するという時代が、また戻って来ないかなあなどと夢見る昭和世代なのであります。

B2B映像のシナリオ今昔・絵コンテの功罪
B2B映像のシナリオ今昔・絵コンテの功罪

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