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Tomizo Jinno

映像編集と試写のプロセス

映像編集の変遷と、それに伴う課題


「仮編集」という言葉、最近あまり聞かなくなったと思いませんか?

アナログ時代には、ディレクターが自ら行う「仮編集」と、編集専門スタッフが高度な技術を駆使して仕上げる「本編集」という、明確な工程に分かれていました。ディレクターは、膨大なフィルム素材の中から必要なカットを選び出し、大まかな構成を決め、編集スタッフに指示を出します。編集スタッフは、その指示に基づいて、映像を繋ぎ合わせ、効果音や音楽を加え、時には画像の補正も行い、完成度の高い作品を作り上げていました。この時代、編集は高度な専門技術を必要とする職人の仕事であり、編集の仕方はある種の「作法」のようなものが存在していました。

しかし、デジタル技術の発展により、映像制作の現場は大きく変化しました。高性能な編集ソフトの登場により、誰でも手軽に本格的な編集ができるようになったのです。特に、ノンリニア編集と呼ばれる手法が広まるにつれて、映像素材を自由に並べ替えたり、効果を加えたりすることが容易になりました。

このデジタル化によって、映像制作のスピードは飛躍的に向上しました。しかし、同時にいくつかの問題も浮き彫りになってきました。



① 編集の専門性の低下


以前は、編集は高度な専門知識と技術を必要とする仕事でしたが、今では誰でも簡単に編集できるようになったため、編集の専門性が低下しているという指摘があります。特に、中小規模の映像制作会社では、ディレクターが自ら編集を行うケースが多く、編集の品質にばらつきが生じやすいという問題があります。



② クライアントとの認識のずれ


デジタル化により、クライアントが初めて目にする映像が、すでに完成に近い状態になっていることが多くなりました。これは、クライアントにとっては制作期間の短縮につながりメリットがある一方で、編集に関する知識が少ないクライアントにとっては、完成映像のイメージと実際の映像に大きな差が生じる可能性があります。



③ 編集のセンスの多様化


編集ソフトの機能が豊富になったことで、表現の幅が広がりましたが、同時に、編集のセンスやスタイルに大きなバラつきが生じるようになりました。同じ素材でも、編集者によって全く異なる作品に仕上がることがあります。



④ 制作体制の透明性


特にBtoB映像制作においては、制作体制が複雑化しているケースが多く、クライアントが制作過程を把握しにくいという問題があります。どのスタッフが編集を担当しているのか、どのようなスキルを持っているのか、といった情報が不足している場合、クライアントは安心して発注することができません。

これらの問題を解決するためには、映像制作会社側が、より透明性の高い制作体制を構築し、クライアントとのコミュニケーションを密に行うことが重要です。また、クライアント側も、映像制作に関する知識を深め、制作会社を選ぶ際には、実績や制作体制をしっかりと確認することが大切です。

映像制作は、企画、撮影、編集、そして納品という一連のプロセスで構成されます。その中でも、編集は、映像に命を吹き込む重要な役割を担っています。編集の質が、作品の出来を大きく左右することは言うまでもありません。

映像編集と試写のプロセス
BtoB映像(動画)編集と試写のプロセス

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