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倍速再生、ファスト動画とキーワード読み


A. 幕府は1639年、ポルトガル人を追放し、

 大名には沿岸の警備を命じた。


B. 1639年、ポルトガル人は追放され、

 幕府は大名から沿岸の警備を命じられた。



中学3年生に、この2つの文章の意味が「同じ」か「違うか」と問うたところ、43%が「同じ」と回答したということが、あるネット番組で話題になっていた。このテストを実施したのが新井紀子さんというので、興味を持ちました。(氏のA.I.に関する問題意識はとても的を得ていると思うので)


キーワード読み

この問題の解釈は、番組でも「キーワード読み」にあると説明していましたが、僕も同感です。だって、自分もそれに近いことを日頃からしていますから。新聞記事に始まり小説にしろエッセイにしろ、急いでいる時は斜め読みするのが日常になっています。あるいは、記事の言説が「ああ、そういうことね」とわかった(ような気になった)時は、その先は文末を確認する程度です。記事の筆者や、その出版社の傾向がわかって(いるような気になっているだけ)いると、大方は外れていません。けれど、たまに文末の結論が予想に反していることもあって、読み返してみると「を」とか「が」といった助詞を読み間違えていたりします。中学3年生を笑えません。


ショート動画とか倍速再生とかファスト動画

「タイパ」という言葉が若者の間で定着して久しいですが、映像を視聴する時間の浪費も許せない人たちは、映像も流し見して印象に残る画像だけで「わかった」「もう見た」と考えるようになりました。映像にははじめから助詞の「を」「が」「に」などがありませんから、例えばその番組に2人の出演者があれば視聴者は見た目の印象だけで、犯人と被害者を決めます。ネットニュースやおまとめ記事に流れてくる事件や出来事のタイトル、キャプション、そのレス、それらも文章としてではなく単語の羅列としてしか見ていないのと同様、映像で流れてくるニュース動画やSNSのショート動画も、短い映像のさらに限られた印象的な1カットを見て「わかった」と、「いいね」をしてシェアします。


飛ばすのは人生経験積んでから

年長者は「人を決めつける」という間違いを犯すことがあります。若者からすれば非常にうざったいことですよね。相関関係がまったくない精神論を持ちだして「だから今時のやつは・・・」というのは、まったくもってインテリジェンスに欠けるので取り合わなくていいです。ただ年長者の多くは、たしかに的を得たことを言うのも事実です。なにより経験値が違うから。

社会経験、人生経験、仕事経験が浅い若者が実際に見ていない、知らないことを「わかったような気になって」いるのは、かなりやばいことのように思います。


映像も隅々まで、脇見をせずに見て、聞いてほしい

このことは僕ら映像制作者の願いですが、まずは細大漏らさず観たいと思う映像をつくるのが僕らの使命ですね。


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