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「」に対する検索結果が416件見つかりました

  • 何をいつまでに準備すればいいか

    お客様が私たち映像制作会社に企画・制作を外注されるとき、発注者として何をいつまでに準備すればいいのか気になると思います。制作することが決まったらすぐに、撮影までに、編集までに・・など、必ずしも発注時でなくても良いものもあり、期限は様々にあります。 思いつく限りリストアップしてみますので、参考にしてください。 初回打ち合わせ(オリエンテーション)までに必要なこと 制作会社に対して、企画のどの段階から協力を仰ぐのか、によって準備すべきものは異なりますが、初回打ち合わせまでに、共通して必要なことは以下です。 テーマ・題材 届けたいメッセージあるいは達成したい成果 訴求対象 予定納期 概算予算 現状における制約条件(撮影日が決まっている、商品はまだ完成していない、など) 次回打ち合わせまでに企画・シナリオの提案を受ける場合 自社あるいは商品などの資料 競合会社、競合商品などの資料 参考にすべき資料 担当部署、会社の意向をまとめた資料(意見、制約、注意点など) 撮影までに必要なこと シナリオのチェック、修正、決定 提出された香盤表の内容確認と撮影先、撮影物、人の手配、承認手続き制作会社の制作進行スタッフと相談しながら、撮影スタッフや機材手配とスケジュール調整を含めた手配作業が必要です。 撮影とは関係がありませんが、映像に挿入する資料写真や図表の原図など撮影が終わるまでには制作会社に渡してください。アニメやCGなど、作成期間が長く掛かりそうな動画作成のための資料は、撮影が始まる前でも、できるだけ早い時期に渡していただけると助かります。撮影前に試作映像をチェックしただく場合もあります。 編集までに必要なこと シナリオ(撮影後)決定稿の確定 編集する際の、カットの長さタイミングに関わるため、ナレーションはここまでに確定したいものです。もちろんどうしても変更が必要になった場合は、工数は増えますが修正は可能です。 インフォグラフィック手法による映像の場合は、ナレーションに合わせて正確に編集するため、編集が始まると、修正は不可とお考えください。ただし編集の過程で、より良い映像にするため原稿に修正が必要になった場合は、制作会社の方から修正を打診することがあります。 ナレーション録音までに必要なこと 編集後試写映像(+音楽+仮ナレーション)をチェックして修正指示を出してください。テロップ、字幕などの原稿も確実にチェックしてください。 制作会社が提案するナレーターの候補から適任者を指名して、ナレーター、スタジオのスケジュール調整にご協力ください。制作工程の最後の作業ですので、あまり早期に予定日時を決定しますと、変更の可能性が高くなりますので、修正編集の進捗をみながら調整することが常になっています。 音楽に対する意見があれば、録音前々日までにお知らせください。録音までに代案を提案いたします。 試写、修正編集が終わると、映像は完成となりますので、これ以降の映像の修正は原則的に不可とお考えください。多数項目や枠組みの変更指示などがある場合は、修正編集に時間が掛かるため、ナレーション録音のスケジュール変更をお願いすことがります。 まとめ 制作工程の進め方は、制作会社によっていくらか違います。例えば試写時に音楽や仮ナレーションを入れるのは弊社の方針であり、他の制作会社では行わないこともありますので、ご注意ください。 上記の様々な期限は、正直に申し上げるとなかなかこの通りにはいかない例も多くあります。期限に間に合わないと制作の進捗に影響はあるものの、対策方法が見つからないということは稀ですのでご安心ください。

  • PR動画・CM映像の制作期間

    会社紹介や商品CMを制作することになったけれど、予定している日までに完成できるのか?という心配があると思います。私たち外注プロダクションに依頼すると、私たちがまず第1ににお尋ねすることのひとつが「納期」です。 納期までの制作期間が短い場合は、制作自体を諦めなくてはならないこともありますが、多くの場合は、許される制作期間に応じた企画案や制作プランをたてて、ご希望の納期に間に合うような提案をするのも、私たちプロダクションの仕事です。 スケジュールに影響する要素 ①企画内容 シナリオ作成の下調べやクライアント部署間の調整、撮影先の探索やアレンジが必要な企画内容の場合、撮影に入るまでに1〜数ヶ月を要することがあります。一方、インタビューメインの構成であれば、下準備もそこそこにぶっつけ本番で収録して、すぐに編集、納品することも可能です。 ②ご予算(制作規模) 限られた予算の場合は、ディレクターとカメラマンだけで完成まで担当するという方法もあり、短い場合、1週間で完成させることもできます。一方大掛かりなロケやスタジオセット、タレントが必要なテレビCMのような案件の場合、あるいは高度なVFXなどプリプロダクション、ポストプロダクションの工数の多い制作の場合は、それに応じたスタッフ体制を組み、そのキャスティングから始まり、それぞれの仕事をバケツリレーのように受け渡していく時間が必要になるため、数ヶ月のスケジュールを要する場合があります。 ③演出技法 撮影内容に応じた準備期間、撮影期間が必要です。撮影がなくアニメやCGで構成する場合にも、数多くのプロセスがあり、一般的に見て1.5から3ヶ月を見ておく必要があります。 ④試写と修正の回数と修正内容 クライアントからの修正回数と修正内容が多いほど、制作期間は長くなります。 ⑤映像の尺と編集技法 尺が長いほど、高度な技巧を使用すればするほど編集時間がかかり、さらに修正依頼への対応作業が多くなり、制作期間がさらに長くなります。 ⑥提案へのレスポンス 提出したシナリオや見積書、スケジュール案、撮影要望書などの書類への回答、さらに試写に対する修正指示などに要する時間が長い場合は、全体の制作期間も長くなります。 PR映像制作スケジュール例 一般的なPR映像の制作スケジュールの一例を示します。想定期間を全部足すと4ヶ月以上になってしまいますが、あくまで余裕をみたものです。実際に私たちが請け負っている案件では1から2ヶ月くらいでの納品も数多くありますのでご安心ください。 1. 企画段階(2週間~1ヶ月) ヒアリング: 依頼主の要望、ターゲット層、伝えたいメッセージなどを詳細にヒアリングします。 企画書作成: ヒアリング内容に基づき、映像のコンセプト、ストーリーボード、構成などをまとめた企画書を作成します。 予算策定: 制作費の見積もりを作成します。 2. プレゼンテーション(1週間) 依頼主に企画書をプレゼンし、フィードバックを受けます。 必要に応じて企画を修正します。 3. プリプロダクション(2週間~1ヶ月) ロケハン: 撮影場所の下見を行います。 キャスティング: 出演者やナレーターの選定を行います。 撮影準備: 撮影機材の準備、小道具の手配などを行います。 4. 撮影(1日~数日) 企画書に基づいて撮影を行います。 必要に応じて追加撮影を行います。 5. ポストプロダクション(2週間~1ヶ月) アニメ・CG :撮影した素材との調整をしながら作成します 編集:  撮影した素材、アニメ素材を編集し、映像に仕上げます。 グラフィック: テロップやロゴなどを加えます。 6. 試写・修正×数回(2週間) 依頼主に完成した映像を確認していただき、修正指示があれば対応します。 7.MA作業(1日) 音響:  効果音、BGM、ナレーションなどを加えます。 音声の最終調整を行います。 8. 納品 最終的な映像データを納品します。 余裕を持ったスケジュール 弊社の場合、各種提出書類への回答(チェクバック)は中3営業日ないしは1週間後を想定したスケジュール案を提案することにしています。制作期間が限られる場合は、クライアントにお願いしてレスを早めていただいています。また、野外ロケがある場合は、必ず予備日を設定するようにしています。 PR映像の制作は様々な条件下で行われますので、どんな場合でも必ず余裕をみたスケジュールをたてることが大切だと考えています。

  • 自分視点と公平視点

    感情を大切にする社会 何度も同じことを書いてきたように思うけれど、どうも最近ますます社会が「自分視点」を当然と考える流れが加速しているように思います。自分視点、すなわち自分の感情を基準にするものの見方です。   映像制作者の視点 私がものごとを捉える「視点」に拘ってしまうのは、やはり映像制作を仕事としているからだと思います。 映像制作は通常、撮影をともなうので、カメラが切り取る時点ですでに視点が決められます。そして、いくらかばらついた撮影素材も編集する時点で、更に視点は整理されて、ひとつの方向性を明確に描き出すようになります。  撮影素材でなくてもイラストでもCGでもかならず視点を持っていますから、それらが統合された映像作品というのは制作者の意図に沿った視点が与えられています。   ひねくれもの つまり映像制作者というのは、仕事中いつも「視点」を意識しているため、長くこの仕事をしていると、割りと自在に視点を動かしてものごとを見ることができるようになります。 余談ですが、この能力というか性格を持った人間というのは、口を開くと人と違うことを言う傾向がありますので、周りの人からするととてもひねくれた性格に映るようです。   感情に寄り添うと敵をつくる 映像制作者が企画意図によって視点を制御していることはわかっていただけると思います。企画意図とはシンプルに言えば、誰にどんなイメージを伝えるか、ということです。 我々は一般視聴者が対象であっても、若年層なのか高齢者なのか、男性中心なのか女性中心なのか、仕事のことなのか生活のことなのか等によって、視点を替えています。 これは、対象の人たちの属性を考慮するということであり、その人達の「感情」に寄り添う切り口やもの言いを選択します。 ただし、このようにひとつの視点で描かれた表現物は、ある別な集団にとっては不快なことがしばしばあります。ある属性の消費者にとってはとても嬉しいことであっても、同業者や社会全体としては必ずしも良い未来をもたらさない、一部の人達だけが嬉しいことだったりするからです。   できるだけ敵を作らずに効果を上げる映像プロ イジネスにおける映像制作では、訴求効果を高めるため、対象により深く刺さる表現を選びます。同時に自分たちが作っている映像が、ある人達にとっては歓迎できないものであることをいつも意識、配慮しています。できるだけ敵を作らないのは、ビジネス社会のセオリーだと考えるからです。   感情判断は不公平を産み出す さて、日本社会だけでなく世界に目を向けても、視点を一方向に固定して、社会を二分して相手を攻撃する。そんなイデオロギーが支配しつつあります。見ていて気持ち良いものではないと思います。 攻撃とは、すなわち「感情」をぶつけること。 でも「感情」はひとによって様々。 社会の方針を決める時に、この「感情」を判断基準にして良いものか。必ず「割を食う(不公平な扱いを受ける)」ひとたちが出て社会がどんどん不安定になるように思います。   「事実」を基準にする社会 社会を運営する思想は大原則「公平」。「感情」ではなく「事実」を判断基準にする。すなわち視点は360°でなくてはいけない、日常生活、社会生活においては、私はそう思っています。

  • ビジネス動画制作とホワイトボードアニメーション

    TV-CMの絵コンテ たった15秒のTV-CMの絵コンテであれば、アイデアさえまとまれば作成する時間は、そう掛かりません。最近の絵コンテは手描きとは限りませんので、画像処理が面倒ではない程度に画像処理ソフトが操作できるならば、これもそう苦にはならないでしょう。 B2B映像の絵コンテ ところが B2Bの企業映像となると1分とか3分、長いものだと10分以上になりますので、その全編に絵コンテをはめ込む作業は数日掛かる作業となります。 実写で撮影する対象であれば、実際に撮影したらどういう構図になるのか、下見をしないと描けませんし、その物がどんな場所に置いてあるのかも、絵コンテには重要な情報です。 絵コンテは描く作業時間もさることながら、下調べ準備がとてもたいへんで、ディレクターはかなり困憊する工程であることは間違いありません。 逆にこれをしっかり描ければ、映像は半分できたようなものなので、後半戦にむけて気持ちがスッキリするタイミングでもあります。 撮影(動画素材)なしでつくるB2B映像 ところが、最近の企業映像は撮影を伴わない映像づくりも多くあります。 CGやイラスや、それらが動くアニメーションだったりです。 こうした手法の映像をつくるときに往々にして起こることが、絵柄の変化が乏しく、絵コンテにしても同じような絵柄が継続して、映像の流れが単調になってしまうことです。 アニメーションさせる予算がないとき 予算があれば3Dにしろ2Dにしろ、またイラストにしろ「アニメーション」して、対象物自体を画面の中で動かして「意味を発生させる」たり「間を持たせる」のですが、数分から10分もあるB2B映像で予算が無い場合、静止画のイラストが、10秒も20秒も続くことになります。 こうした映像は、映像制作者にとってはスライドショーを作っているような気分になり、プロとしてはできるだけ避けたいと考えます。 困ったときのホワイトボード手法? こんな時に救世主のように利用される手法が「ホワイトボードアニメ」です。 極論すると、この手法はイラストや文字を「描かれていく過程(消えていく過程)を見せる」ことで、簡単に言えば「時間を稼ぎ」「間の悪さ」を回避します。 したがって視聴者も退屈さをあまり感じずに視聴できる、というメリットはあります。 この手法が科学的に分析されている・・・て本当? ただし、果たして退屈しないからと言って、その画面が伝えたいメッセージがより深く伝わるのかという問いに対しては、僕は?だと思います。 よくこの手法の利点として、視聴者への到達率・理解度が○○%アップします、みたいなことが書いてあるのですが、それは「この手法に適した脚本づくりに苦心した結果」ではないかと僕は見ています。 大事なことは、伝えたいことをどう順序立てて、視聴者のふに落ちる説明とスピードで聴かせ、見せるか・・・、その脚本づくりができていないと、ほとんど無意味なばかりか、ペン先や手先を目で追いかけることに気を取られて、ナレーションが耳に入っていない・・・てなことも起こりかねません。 ホワイトボードアニメの製作を計画されるときは、よくよく考えて絵コンテをつくるべきだと思います。 ホワイトボードアニメーションに対する批判的な意見 画一的な印象: 手描き風のイラストやシンプルな表現が特徴ですが、多くの動画で似たような表現方法が用いられるため、画一的で個性に欠けるという意見があります。 表現の限界: 複雑な動きやリアルな表現は苦手とするため、表現できる内容に限界があるという指摘があります。 飽きられやすい: 長尺の動画になると、シンプルな表現が単調に感じられ、視聴者の集中力が途切れてしまう可能性があります。 制作コスト: 高画質な実写映像に比べると、制作コストは抑えられますが、複雑な内容や長尺の動画になると、制作に時間がかかり、コストが嵩む場合があります。 オリジナリティの欠如: テンプレート化されたような動画が多く、他の動画との差別化が難しいという意見もあります。

  • 映像の記憶と現実の時間

    経験と勘の「時間」 手慣れた映像エディターや自分で編集を行うディレクターは、1カットの尺に最低何秒必要かをカラダが覚えています。普通に状況説明する部分の編集をするならば、例え単純な対象を撮った静止画であっても、3秒では短すぎる。4秒では忙しない。5秒あれば大丈夫だが、しっかり見て欲しい対象ならば8秒以上見せてもいい・・・、とか知っています。 編集のリズムと時間 パンニングやズーミングをしているカットであれば、頭1秒、お尻1秒「止め」を付けることで、落ち着いたシーン構成ができ、パンやズームのスピードは、前後の編集のリズムを考慮します。テロップを見せる時間は、その文章をゆっくり読んでみて、さらに+1秒以上は欲しいもの。 無関係な場合も こうした「カラダで覚えた常識」は、むしろそれを破ることも大事な演出法です。 パン・ズームカットも「止め」無しで使うことなど茶飯事です。 音楽に乗せて短くカットを繋いでいくとか言う時には、こうしたルールはまったく無視していいけれど、音楽のリズムやアクセントに合わせすぎるとダサくなります。 これらのことも経験的に知っています。 光陰矢の如 総じて言えるのは、一般の方が思っているほど「1カットは短く無い」ということです。 僕らのビジネスでは、構成・シナリオの原案をお客さんからいただくことも多いのですが、「これで1分」と思われているシナリオが、編集してみると大方が3分になっちゃいます。それくらい、イマジネーションの「尺」は短く、実際の尺は長いものです。 脳に残す映像の記憶というのは、実際の尺を短縮(圧縮)しているのかも知れません。 映像もその本質は「光と陰」。 もしかしたらこの諺は、こうした映像記憶の圧縮効果のこを言っているのかも知れません。 一日の長さ 子供の頃は時間が長く感じ、大人になるにつれて時間が短く感じるようになるという経験は多くの人が持つのではないでしょうか。これは、年齢とともに時間の価値観や時間の使い方が変化するためと考えられていますが、私はそれまで生きてきた時間が分母になるからだと思っています。 映像は時間を凝縮しますが、視聴者の方にはその映像を解凍しながら、リアルな時間を感じて欲しいと願っています。 ※最近のショート動画で音楽のリズムに乗せる映像の場合は1秒/1カットが定番ですが、今回の話題とは異なる映像法ですので突っ込まないでくださいね。

  • 認知バイアスとPR映像のシナリオ

    認知バイアス 僕らが日常的に経験、ないしは観察することが多いのは「正常バイアス」と「確証バイアス」です。 正常バイアス 目の前で起こっているいる危機的状況を、正常だと思い込もうとすることで安心感を得たいという衝動。 確証バイアス 思いついた仮説を裏付ける情報だけを集めて、仮説を確信に高めようとする衝動。 広告宣伝に利用するバイアス 前者の「正常バイアス」は、これは宣伝用のシナリオにはあまり利用しないと思いますが、後者の「確証バイアス」は、安手の企業PR映像やテレビショピング、マルチ商法紛いのビジネスのPRで頻繁に見られるシナリオ手法です。 仮説(商品の特長)を裏付けているように見える、細かな事実を次々に羅列することで、まるでネガティブな事実が無いように印象付けてします。 未成年向け だが、この方法は視聴者の社会経験が少なければ有効ですが、少々経験を積めば「何で、良い話しかないのか?」という疑念を持ち、すぐに抜け落ちている情報の中に重大な問題があるのではないか、という想像に辿り着きます。 ちょっと巧妙なシナリオライター ならば、そう大きな問題では無いネガティブな情報をひとつふたつ盛り込むことで、賛否両論を公平に提示しているかのよう装って、結果購入を選択するように仕向けます。 もっと巧妙なシナリオライター は、そういう事実誤認に誘導するような映像づくりには加担しない。 正しい事実を伝えることがアピールにならないならば、その商品の価値は低いわけでから、その価値に見合った機能と値段であることをアピールして、最低限その機能を安く手に入れたい人には買ってもらおうとする。そもそも商品の機能に大きな期待をさせないし、安いのでクレームも少なく、それなりに継続するビジネスにつながる・・・と考えます。 「3密回避」にみる正常性バイアス 新型コロナウィルス感染症対策で、しきりと叫ばれた「3密回避」について、人々の行動や意見に、様々な角度からバイアスが掛かっていたことを思い出します。 避けるべき密閉、密接、密集について、みんなわかってはいるものの、いざ自分がその状況に遭遇しても、「自分に限って大丈夫」「友達だから大丈夫」という根拠のない理由をつけて、その場を過ごしてしまうのは、人間の「正常性バイアス」の典型と言えるでしょう。 確率的に低い=絶対にない、ではない 新型コロナウィルスについて、メディアから伝えられる感染者数や死亡者数は、かなりの数字になったとは言え、人工対比の単純な確率で言えば数%にも満たない中に、こういう場合に限って「自分がその中に入るわけがない」と、自分に都合のよい解釈をします。正常性バイアスとは「社会心理学、災害心理学などで使用されている心理学用語で、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう人の特性のこと。」(出典:Wikipedia )という、まさにこれに当てはまります。 バイアスは誰にでも掛かっている 例えば、人は宝くじを買うと最初「自分に限って当たるかも知れない」という、とてつもない妄想を抱き、抽選結果が発表されると「宝くじは絶対に当たらない」というを確信を持ちます。たぶん誰もが経験する認識や感情の流れです。 しかし、現実には宝くじはほとんどの人はハズレますし、当たる人には当たります。ですから、「自分に限って」も「絶対に」も、いずれも間違いです。 都合が良いのが人間? 人はなぜこうした認識に「間違い」を冒す(犯す?)のでしょう。やはり簡単な話し「目の前の事実から目を逸らし安心したい」のでしょう。 事実を事実として真正面から捉えることは、時に精神を不安定にしますから、人としての精神衛生を保つための心の作用なのでしょうけれど、こと他人様が関わっている事実の認識については、正しく受け止め行動に移さないと迷惑を掛けます。 PR映像のシナリオはバイアスを利用する 映像シナリオを書く者として、人が持つ感情や認識についてのバイアスのことは、いつも脳裏に置いています。人間の心のバイアスは、例えば「先入観」を逆手にとった効果的な映像シナリオづくりには役立つものです。 でも、現実の社会ではあまり快いものではありませんので、自分の心が持っているバイアス傾向については、いつも注意を払って修正しています。

  • 映像編集の基礎知識(2)カット・アウェイ

    「カット・アウェイ」とは、映像撮影と編集の技法の1つであり、目的の意図や感情を短時間で描くために、突然別の映像やシーンを挿入する手法です。 主要なシーンを中心に据えつつ、より詳細な情報や背景を説明したり、物語の要素を強調するために用いられます。いわゆる「インサート」であり、「cut away : 一時的に今の場所から別の場所へ離れる」と理解すればいいでしょう。 例えば、主人公が犯人のアリバイを尋ねるシーン 犯人のアリバイがカット・アウェイによって示されることがあります。主人公が犯人を追及する場面に続いて、被害者が犯行をしていた時間帯のシーンや、犯人のアリバイを証明するシーンが挿入されます。これにより視聴者は主人公の主観に共感しやすくなり、物語の緊張感が高まります。 ドキュメンタリー映像の解説シーン ドキュメンタリー映像では 、複雑なテーマや歴史的な出来事を分かりやすく伝えることが求められます。例えば、歴史上の重要な瞬間を解説するシーンでカット・アウェイが使われます。ナレーションやインタビュー映像に加えて、当時の映像や写真を挿入することで、視聴者によりリアルな体験を提供します。この手法は、物語の詳細な背景や特徴を強調するために非常に効果的です。 アクション映画の戦闘シーン 主人公が強敵と対峙するシーンでは、その対話的なカット・アウェイにより、戦闘の緊張感や主人公の勇気(内面)が強調され、視聴者はより一体感を持って物語に侵入することができます。 事例1: 『ゴッドファーザー』  『ゴッドファーザー』はフランシス・フォード・ コッポラ監督によるアメリカ映画の傑作。映画の中でも特に有名な「カット・アウェイ」のシーンは、主人公であるマイケル・コルレ・オーネ(アル・パチーノ)の父であるドン・ヴィトー(マーロン・ブランド)の葬儀の場面です。マイケルは教会の内部で葬儀に参列していますが、同時に教会の外には、ヴィトーの敵対者たちがいます。これにより、視聴者はマイケルの表情の中に、ヴィトーの影響力や死の重要性を感じることができ、物語により深く没入することができます。 事例2: 『サイコ』   アルフレッド・ヒッチコック監督による『サイコ』は、ホラージジャンルの代表作であり、映画史上においても最も有名なシーンの一つとして、マリオン・クレイン(ジャネット・リー)がシャワーを浴びている最中に、謎の人物によって襲撃されるシーンがあり、シャワーからマリオンの叫び声、そしてナイフの音とともに、彼女の表情や悲鳴がやりとりに切り替わるカット・アウェイによって、非常にリアルで恐ろしいシーンとなっています。 事例3: 『シャイニング』 スタンリー ・キューブリック監督の『シャイニング』は、ホラー映画の傑作としても知られています。 特に、主人公のジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)がホテルのバーで幽霊のバーテンダーと対話するシーンで、「カット・アウェイ」が見事に使われています。ジャックの表情や挙動と、バーテンダーの演技が対話的に切り替わり(カット・アウェイ)ながら、物語の中でのジャックの精神的な変化が強調されています。 これらの映画のシーンは、「カット・アウェイ」を巧みに活用して、物語や登場人物の感情、緊張感などをより深く伝えることに成功しています。視聴者の感情に配慮した重要な手法の1つと言えます。 これらの事例からわかるように、「カット・アウェイ」は映像撮影と編集のテクニックとして非常に効果的で幅広く活用されています。映像制作において、シーンの伝えたい要素をよりわかりやすく強調したり、物語流れをスムーズにつなげる国際的に活用される技法と言えます。 映像編集の基礎知識(1)スクリーン・ダイレクション 映像編集の基礎知識(2 )カットアウェイ 映像編集の基礎知識(3 )ジャンプカット 映像編集の基礎知識(4 )コンティニュイティ編集

  • シチュエーショ別見積書と構成案の作成・提案

    はじめに 4つのシチュエーションを想定して、映像制作会社がどのように見積書の作成・提案を行うべきか、具体的な手順とポイントを解説します。いずれの場合も、映像化するテーマ、ターゲット視聴者、媒体、希望尺は同一のものとします。この記事は映像制作会社の新人プロデューサーのためのマニュアルですが、クライアントの立場で読んでいただいても有意義な情報だと思います。ぜひご一読ください。 4つのパターン Situation 1:予算枠と映像手法が決定している場合 手順: 仕様設定: 撮影日数、イラスト点数など、クライアントの要望に基づいた詳細な仕様を設定します。 見積書作成: 設定した仕様に基づき、具体的な費用を明記した見積書を作成します。 構成案作成 (オプション): 案件の実現性が高く、クライアントから要望があれば、A4 1ページ程度の構成案を作成します。 ポイント: クライアントの要望を正確に把握し、それに沿った見積もりを作成することが重要です。 撮影条件に制限がある場合は、事前に確認し、仕様に反映させます。 Situation 2:予算枠はあるが、映像手法が未定の場合 手順: 最適な映像手法の選定: テーマ、媒体、尺、予算枠を総合的に判断し、最適な映像手法を複数提案します。 仕様設定: 各映像手法ごとに、詳細な仕様を設定します。 見積書作成: 各仕様に基づき、それぞれの見積書を作成します。 構成案作成 (オプション): クライアントから要望があれば、構成案を作成します。 ポイント: クライアントの予算内で実現可能な複数の選択肢を提示することで、より最適な映像制作を進めることができます。 各映像手法のメリット・デメリットを明確に説明し、クライアントが適切な判断ができるよう支援します。 Situation 3:予算枠は未定だが、映像手法は決定している場合 手順: 最適な仕様設定: テーマ、媒体、尺、映像手法を考慮し、最適な仕様を設定します。 見積書作成: 設定した仕様に基づき、見積書を作成します。 注意: 希望する映像手法によっては、見積金額が大幅に高くなる可能性があることを事前に伝えておきます。 ポイント: クライアントの希望する映像手法を実現するために必要な費用を明確にすることが重要です。 予算の範囲内で実現可能な範囲を提案し、クライアントと協力して最適なソリューションを模索します。 Situation 4:予算枠も映像手法も未定の場合 手順: 最適な映像手法の選定: テーマ、媒体、尺を考慮し、最適な映像手法を複数提案します。 仕様設定: 各映像手法ごとに、詳細な仕様を設定します。 見積書作成: 各仕様に基づき、それぞれの見積書を作成します。 構成案作成 (オプション): クライアントから要望があれば、構成案を作成します。 ポイント: クライアントの要望を最大限に引き出し、最適な映像作品を作り上げるための提案を行います。 さまざまな角度から検討し、クライアントにとって最も効果的なソリューションを提案します。 構成案について 構成案は、シナリオ作成前の段階で、映像全体の枠組みをまとめたものです。クライアントから提供された会社情報、商品・サービスの詳細、ターゲット層など、具体的な情報を基に作成します。構成案を作成することで、クライアントと制作側のイメージを共有し、よりスムーズな制作進行が可能になります。 構成案作成に必要な情報: 会社情報 商品・サービスの詳細(概要、特徴、ターゲット層など) 映像化したいテーマ 媒体 希望尺 予算枠(概算) 構成案の作成期間: 構成案の作成には、企画・仕様の幅を想定する必要があるため、ある程度の時間を要します。クライアントには、事前に作成期間を伝えておくことが重要です。 まとめ 映像制作の見積もり作成・提案は、クライアントの要望を正確に把握し、最適なソリューションを提案することが重要です。紹介した4つのパターンを参考に、クライアントとのコミュニケーションを密に行い、満足度の高い映像制作を目指しましょう。

  • 映像で伝えられることはひとつ

    会社案内映像を3分尺で作って欲しい 最近そういうオーダーが増えています。会社案内、つまり企業が自社の企業情報や商品・サービス情報を社会に拡散するためのものです。でも会社という事業体を説明するための情報は多岐に渡ります。だからそれを3分に詰め込むと、情報密度が過剰になり、視聴者にはむしろ何も残らないということが起こります。。 短時間に、多く、深く知って欲しい よく理解できます。けれども、会社案内を制作発注されるご担当者の方は、ぜひよく考えて欲しいことです。 3分の映像で伝えられることはじつは「ほんのひとつ」です。 5分でも「ひとつ」。 10分だと「ひとつのことを深く」伝えることができます。   NHKのニュースショーのような番組があるとします。 よくある構成に「特集」という、テーマを絞ったコーナーがあります。 こうした「特集」を視聴した後、頭には何が残っているでしょうか? 特集コーナーの内容は、現場取材あり、インタビューあり、専門家のコメントあり、解説あり。しかし、それらの情報はすべて、ニュースショー制作者が掲げた「ひとつのテーマ」に収斂されるよう構成されています。   真摯な視聴者は送り手の意図を汲み取ろうとする 番組の映像は作為的につくってあったり、現実を切り取ったシンプルなものであったり。 しかし、いずれにせよ意図に沿って繋がれた画像と音声の連続を、放送というリアルタイムな時間の流れの中に身を置き、視聴者は制作者の意図を汲み取りながら視聴します。 少なくとも意図的に視聴を始めた人ならば、何かを汲み取ろうと視聴をし、その期待を裏切らない流れであれば、テーマをはっきり理解するまで視聴することでしょう。   映像を思い出せますか? でも思い出してみてください。 あなたは、その特集コーナーで視聴した情報の仔細を覚えているでしょうか? 何がどのような順で画面に現れたか、記憶をたどって書き出すことができるでしょうか?   思い出せるのは、例えば「地球は温暖化していて、気候変動によって人間社会は影響を受ける」みたいな、特集コーナーがあなたに伝えたかったメッセージだけではありませんか? もちろん、脳裏には様々なシーンが断片的には残っていますが、それがどういう意味で、どういう扱いで切り取られていたかはほとんど忘れています。   映像の本質 映像とはそういうものです。 いや、だからこそ人に強い印象、狙ったメッセージを届けられる。 それこそが映像というメディアコンテンツの本質的な価値。 僕はそう考えています。   仔細な情報は覚えていない 逆に言えば、3分でも5分でも10分でも、そこに箇条書きのように情報を詰め込んだとしても、視聴者の誰もそれらのことは記憶しないということです。 何故でしょうか? 映像(+音声)は、時間と一緒に消えていき、紙面のように横目で「見直す」ことをしないうちに次に移ってしまいます。しかも次には次の情報が溢れるように押し寄せてきて、そこまでの情報を復習している隙間を脳に与えません。 むしろ、そこまでの記憶を新しい情報がどんどん塗り替えていきます。   記憶を塗り替えながら流れ込んでくる映像 この「どんどん塗り替えていく」ことを計算に入れて、何をどういう順番で送り込んでいくと、人の脳裏に最後に何が残るか?と考えながら映像(番組)を構成するが映像制作者の仕事です。   メッセージを伝えることこそ映像の役割 誤解を恐れずに書けば、映像は情報伝達には適しません。 得意なことは「メッセージの伝達」です。 映像のこのチカラを利用することこそが、僕ら映像制作者の仕事です。

  • 1日で撮影できたシーンの数「撮れ高」

    FILM・テープ・カード フィルムで撮影して現像していた時代には、カメラマンは「1発勝負」でOKカットを狙いました。テイクを重ねるほど、お金が掛かったからです。 テープ(アナログ・デジタル)の時代にも、1本辺り20分くらいしか記録できず、本数が増えるほどテープ代が掛かるだけでなく、編集時にOKカットを探し出すのにものすごく時間が掛かるので、テイクが多いカメラマンはあまり歓迎されませんでした。 そして現代。 デジタルメディアは超小さい上に非常に安価になってきたため、テイクを重ねても経済的な痛手にはなりません。ただし、編集する者の身になれば、OKカットがすぐに見つかるようにして欲しいな、と思います。 「撮れ高」という新語 新語というには、もう定着して長くなりましたが、これは以前には無かった用語です。決して「撮影できたカット数」ということではありません。NGカットを量産してくれても撮れ高にはカウントされません。撮れ高はOKカットの数であり、シナリオが要求する各シーンに必要な映像が、どれだけ満たされたか・・というような意味合いです。もう少し踏み込むと、ディレクターがその映像作品に必要なカット(シーンでもいい)が30カットだとして、ディレクターが編集に困らず、少しはあれこれセレクトでき、ちょっとかっこいいカットも撮れちゃって、合計60 OKカットくらいが収録できた、という時に「今日の撮れ高は充分だね」という使い方をします。 カメラマン主導の撮影現場 ディレクターが細かにカメラマンに指示して撮影するタイプの現場では、ディレクターが指示しない限り、編集に不要なカットは撮りません。だから撮れ高はだいたい130%くらいでしょうか。 カメラマン主導になると、ディレクターはアレコレ指示を出さず、フレームの切り取り方も、カット割りさえもカメラマン任せの場合があります。そうすると、カメラマンはディレクターが困らないように、あるいはディレクターに喜んでもらえるように、ディレクターが思いも寄らないようなカッコいいカットも撮っておいてあげよう・・・そう考え、必要カット数を超えて「撮れ高が上がる」わけです。 たぶん、今はカメラマン主導の現場が多いことから、撮影後のカメラマンとディレクターの挨拶、あるいは報告として「撮れ高」という用語が生まれてきたに違いない、と僕は思っています。 お詫び!! (記:2024年9月8日) 訂正します。 「撮れ高」という言葉は新語ではなく、昔からフィルム撮影の現場で使われていた用語のようです。東映特撮番組助監督の方のブログでみつけました。 (引用) フィルム撮影によるフィルムのフィート数をフィルムの長さから「尺」と呼び、撮影出来た量を「撮れ高」と言っていました。つまり、「長さ」の単位の「尺」で撮影「時間」を表し、フィルムを入れて置くフィルム缶が積み上がった感覚の「高さ」の単位の「高低」でも撮影「時間」を表していたのです。 見ず知らずの方で、歓迎されるかどうかわかりませんのでリンクは貼りません。 日本の映像文化を築いてきた方を差し置いてテレビ用語だ、新語だと決めつけて大変失礼しました!

  • いまNHKのEテレがおもしろい

    教育コンテンツ大増産 緊急事態宣言をうけて学校も休校が続くため、ネットや映像を使った様々な教育プログラムが大増産されています。ただし、映像業界に暮らすものとしてちょっと気になるのが、そんなにバラバラに作るよりも指導要領に沿った全国共通コンテンツがあっても良いのではないかということ。もちろん、学校ごとの特色あるコンテンツも有ったほうが良いことは間違いなのですが。 教育テレビ改めEテレ 考えてみれば日本には日本放送協会・NHKが運営する教育チャンネル「Eテレ」があるじゃないですか!この黄金週間、外出自粛のために家で過ごしていると、どうしてもテレビのスイッチをつけることが多くなるのだけれど、どのチャンネルを見ても同じようなニュースソースの番組と、つまらないコメンテーターの的はずれな大衆受けコメントにうんざりしますよね。 チャンネルころころと替えていくとたどり着くEテレ そうするとリモコンを手にどんどんチャンネルを替えていくことになるのは、これもどなたも同じでしょう。お気づきになりませんか?Eテレが結構、いえかなり面白いのです。 子供向けにつくられた学習番組であっても決して手を抜かずに、ちゃんと構成ができているし、幼児向けの番組であっても大人が見ても楽しい。こうしたことは以前から知っていましたが、今は新しいプログラムがなかなか作ることができないため、再放送も多いのですが、その選択、編成も放送屋としての矜持を感じる熱意を感じます。 再放送の編成も工夫している 今日は「恐竜が繁栄し、しかし絶滅に至った」ことを教えてくれる番組を見ました。今世界で起こっていることを、どう捉えるべきか考えさせられます。 教育番組は子供向け!と侮るなかれ!むしろ子供向けのものはごまかしが効かないことは、製作者ならよく知っています。しばらくはEテレ視聴時間が増えそうです。 NHKでの教育番組の歴史は、日本の放送の歴史と深く結びついています。 NHK教育番組の誕生と発展 放送開始当初: NHKの前身であるラジオ放送が始まった当初から、教育番組は重要な役割を担っていました。識字率向上や国民意識の統一を目的とした教養番組などが制作され、放送されていました。 テレビ放送開始後: テレビ放送が始まると、視覚的な要素を活かした教育番組が数多く制作されるようになりました。子供向け番組だけでなく、大人向けの教養番組も充実し、国民の学習意欲を高める上で大きな役割を果たしました。 高度経済成長期: 高度経済成長期には、科学技術の発展や社会の変化に対応するため、新しい分野の教育番組が次々と登場しました。 現代: デジタル化が進み、インターネットの普及により、教育コンテンツの多様化が進んでいます。Eテレでは、従来のテレビ放送に加えて、NHK for Schoolなどのオンライン学習サービスも提供し、学習の場を拡大しています。 NHK教育番組が放送される理由 放送法の目的: 放送法には、国民の文化的な教養の向上に寄与することが明記されています。教育番組は、この目的を達成するための重要な手段の一つです。 国民の学習意欲に応える: 日本国民は、生涯学習に対する意識が高く、質の高い教育コンテンツを求めています。NHK教育番組は、そのニーズに応えることで、国民の学習意欲を高めています。 社会の変化に対応: 社会が大きく変化する中で、教育の内容も常に見直される必要があります。NHK教育番組は、社会の変化に対応し、常に新しい情報を提供しています。 公平性の確保: NHKは公共放送であり、営利を目的としていません。そのため、特定の思想や利益団体に偏ることなく、公平な教育内容を提供することができます。 NHK教育番組は日本の放送史とともに歩み、国民の学習意欲を高め、社会の発展に貢献してきました。今後も社会の変化に対応しながら、質の高い教育番組を提供していくことが期待されています。

  • ナラティブと垢抜け感

    人物や創作物を評価する日本語に「垢抜けている」という言葉があります。英語にするとSophisticatedでしょうか。私は職業映像制作者として、やはり垢抜けた映像をつくりたいと思っています。同時にお客様からも求められていると感じます。では、垢抜けた映像とはどのような映像を言うのか、考えてみました。 1.視覚的洗練度 構図の美しさ 黄金比や三分割法則などの映像文法を巧みに活用し、見る人の目を自然に引きつける構図を作り出している。 色彩設計 色彩理論に基づいた配色や、トーンの統一感があり、全体的な雰囲気を効果的に演出している。 ライティング技術 自然光や人工光を巧みに操り、被写体の魅力を最大限に引き出すと同時に、独特の雰囲気や奥行きを表現している。 2.技術的卓越性 カメラワーク 安定感のあるショットや、効果的なカメラの動きによって、視聴者の感情を巧みに操作している。 編集技術 リズミカルなカット割りや、ストーリーテリングに沿った流れのある編集により、視聴者を飽きさせない構成になっている。 音響設計 適切な音楽選択や効果音の使用、クリアな音質により、視覚と聴覚の相乗効果を生み出している。 3.ナラティブの深さ ストーリーテリング 単なる情報伝達を超えて、感動や共感を呼ぶストーリー構造を持っている。 テーマの普遍性 表面的な内容だけでなく、人間の本質や社会の課題など、深いテーマを扱っている。 キャラクター描写 登場人物や被写体の内面まで掘り下げた、立体的な描写がなされている。 4.時代性と先進性 トレンドの把握 現代の視聴者の興味や関心を的確に捉えたコンテンツになっている。 新技術の活用 VRやAR、インタラクティブ要素など、最新のテクノロジーを効果的に取り入れている。 社会的意義 現代社会の課題や未来への展望を含んだメッセージ性がある。 5.オリジナリティ 独自の表現スタイル 他の作品とは異なる、独自の「声」や視点が感じられる。 革新的なアプローチ 従来の常識や手法にとらわれない、新しい表現方法を模索している。 クリエイティブな問題解決 制作上の制約を創造的に乗り越え、独自のソリューションを生み出している。 6.文化的素養 多様な参照 文学、美術、音楽など、幅広い文化的要素を取り入れ、作品に深みを与えている。 グローバルな視点 国際的な文脈や多様な文化的背景を理解し、普遍的な訴求力を持つ内容になっている。 7.ターゲット理解 視聴者心理の把握 対象となる視聴者の嗜好や行動パターンを深く理解し、それに合わせたコンテンツ設計がなされている。 エンゲージメントの創出 視聴者が作品に没入し、感情的に関与できるような仕掛けが盛り込まれている。 8.プロダクション品質 一貫性のある高品質 撮影から後編集まで、全工程において高い品質基準が維持されている。 細部へのこだわり 大きな要素だけでなく、細かなディテールにまで注意が払われている。 9.倫理的配慮 多様性と包括性 様々な背景や視点を尊重し、偏見のない表現がなされている。 社会的責任 コンテンツが社会に与える影響を考慮し、建設的なメッセージを発信している。 10.総合的バランス 各要素の調和 技術、芸術性、メッセージ性などの全ての要素が適切にバランスが取れている。 形式と内容の一致 表現方法と伝えたい内容が有機的に結びつき、相乗効果を生んでいる。 映像制作は複雑で多面的な創作です。技術的なスキル、創造性、そして視聴者への深い理解が求められる仕事だと思います。上記のような要素を常時満たす創作活動ができる人間は稀有だと思いますが、私も日々目指していきたいところです。 ところで「ナラティブ」とはどういうことかご存知でしょうか。 ナラティブとは、簡単に言えば「物語」や「語り」のことを指します。より広い意味では、出来事や経験を伝える方法や構造のことを指します。映像制作の文脈では、以下のような要素を含みます。 ナラティブ・Narrativeとは 1.ストーリーテリング 出来事の順序や展開の仕方 登場人物(キャラクター)の発展 プロットの構造(起承転結など) 2.テーマ 作品全体を通じて探求される中心的な考えや概念 観客に伝えたいメッセージや問いかけ 3.視点 誰の目線で物語が語られるか ナレーターの存在や性質 4.時間の扱い 物語の時間軸(直線的、非線形、フラッシュバックなど) テンポやリズム 5.感情的な要素 観客の感情を動かす方法 共感や没入感を生み出す技法 6.文脈や背景 物語が設定される世界や環境 社会的、文化的、歴史的な背景 ナラティブは単なる事実の羅列ではなく、意味のある方法で情報や経験を構成し、伝達する方法です。優れたナラティブは観客を引き込み、感情的な反応を引き出し、記憶に残る体験を提供します。 映像作品においてナラティブは、視覚的要素と融合しより豊かで複雑な表現を可能にします。例えば、ドキュメンタリーでも単に事実を並べるだけでなく、ナラティブ構造を用いることで、より深い理解と共感を生み出すことができます。 ナラティブの理解と活用は、映像制作者にとって重要であり、作品の「垢抜け」感にも大きく寄与する要素と言えます。

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