動画・映像制作用語
【クロマキー】
C
chromekey
クロマキーとは、映像合成技術の一つで、特定の色をキーにして、その部分を透明化し、別の映像と合成する手法です。一般的には、緑色の背景(グリーンバック)や青色の背景(ブルーバック)をキーにして使用されることが多く、「グリーンバック合成」や「ブルーバック合成」とも呼ばれます。
クロマキーの仕組み
撮影: 特定色の背景の前で被写体を撮影します。
キーイング: 撮影した映像から、特定の色(キーカラー)を抽出し、透明化します。
合成: 透明化された部分に、別の映像を合成します。
クロマキーの活用例
天気予報: 気象キャスターが背景の映像に合成され、まるでその場所にいるかのように表現されます。
映画・ドラマ: 特殊効果やCG合成、ロケ地の変更などに利用されます。
ニュース: 背景にニュース映像を合成したり、仮想スタジオで収録したりします。
YouTube動画: 背景を自由にカスタマイズしたり、バーチャル背景を利用したりすることができます。
クロマキーができること
コスト削減: ロケ撮影の費用を抑え、スタジオで様々な背景を合成することができます。
時間の短縮: 撮影後の編集作業を効率化することができます。
表現の幅を広げる: 実際のロケでは実現できないような映像表現が可能になります。
クロマキーを行う上での注意点
キーカラーの選択: 背景色と被写体の色が重ならないように、適切なキーカラーを選択する必要があります。
照明: 均一な照明を当てることで、キーイングの精度を上げることができます。
背景の素材: キーカラー以外の部分に余計な影や反射がないように、背景の素材を選ぶ必要があります。
編集ソフト: クロマキー合成に対応した編集ソフトが必要です。
【関連用語】
1. スピルコントロール
クロマキー合成時に発生する、被写体の輪郭に残る背景色(スピル)を除去・制御する技術です。特に髪の毛や半透明な部分で目立ちやすい緑や青の光の回り込みを適切に処理します。カラーコレクションツールを使用して、背景色の反射を選択的に除去したり、自然な色に置き換えたりします。過度な処理は被写体の色味も失わせてしまうため、バランスの取れた調整が必要です。最近のソフトウェアでは、AIを活用した高度なスピル除去機能も登場しています。
2. マットキー
映像から特定の明るさや色の範囲を抽出してマスクを作成する技術です。クロマキーと同様に合成のために使用されますが、必ずしも単色の背景を必要としません。例えば、夜空のシーンで光る部分だけを抽出したり、特定の色の衣装を着た人物だけを選択したりできます。複数のマットを組み合わせることで、より精密な選択が可能になります。
3. トラッキングマーカー
クロマキー撮影時に使用される、カメラの動きを追跡するための目印です。緑や青の背景に配置された特殊なマーカーで、合成時のカメラワークの一致や3DCGとの連携に使用されます。マーカーの位置情報から、カメラの動き(パン、ティルト、ズーム等)を算出し、背景映像やCGに反映させます。後処理でマーカーを消す必要がありますが、正確な合成のために重要な要素です。
4. ガベージマット
クロマキー合成時に不要な部分を除外するためのマスクです。スタジオセットの端や、照明機材が映り込んでいる部分など、クロマキー処理だけでは除去できない要素を手動でマスクアウトします。アニメーションをつけることで、カメラの動きに合わせて除外範囲を変更することも可能です。時間はかかりますが、きれいな合成結果を得るために必要な作業です。特に複雑な動きのある撮影では、フレームごとの調整が必要になることもあります。