動画・映像制作用語
【コンティニュイティ】
C
continuity
映像制作におけるコンティニュイティとは、映像の連続性を指します。具体的には複数のカットを繋ぎ合わせる際に、時間、空間、人物、小道具など、様々な要素が矛盾なく、自然に繋がっている状態を指します。
なぜコンティニュイティが重要なのか?
視聴者の感情移入を助ける:不自然な連続性が視聴者の集中力を途切れさせ、物語への没入を妨げます。
一方で、スムーズな連続性は、視聴者を物語の世界に引き込み、より深く作品を楽しむことができます。
物語の理解を助ける:時間や空間の推移を明確にすることで、視聴者は物語の流れをより理解しやすくなります。
人物の行動や感情の変化を自然に見せることで、ストーリーの展開を効果的に表現できます。
コンティニュイティを保つための要素
時間:時計の針、日陰の長さなど、時間の経過を示す要素がカット間で矛盾しないように注意します。
空間:背景、小道具、人物の位置などが、カット間で一貫しているか確認します。
人物:人物の服装、髪型、メイクなどが、カット間で変化しないように注意します。
特に、人物の持つ小道具(眼鏡、時計など)は、カット間で同じ位置にあるかを確認します。
アクション:人物の動作が、カット間で自然に繋がっているか確認します。
例えば、コップを持つ手が、カットが変わるたびに違う位置にあると不自然です。
照明:照明の明るさや方向が、カット間で大きく変化しないように注意します。
コンティニュイティを保つためのルール
180度ルール:2人の人物が会話しているシーンでは、カメラは両者の間に仮想の線を引いた180度の範囲内で移動することで、空間関係を明確にします。
アイラインマッチ:人物の視線の先に、次のカットで映る対象物が置かれるようにすることで、視覚的なつながりを作り出します。
マッチカット:前のカットの形状や動きを、次のカットで似た形の要素で繋ぐことで、スムーズなカット転換を実現します。
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1. マッチカット (Match Cut)
2つのショット間で、形状、動き、または主題が視覚的に類似している要素を用いて行われるカット技法です。コンティニュイティを保ちながら、異なるシーンやシチュエーションを効果的につなぐ手法として使用されます。例えば、回転するドアから円盤が回るシーンへの切り替えや、落ちる涙から雨滴へのつなぎなど、視覚的な共通点を活用して場面転換を行います。この手法は、物語の流れを途切れさせることなく、観客の注意を自然に次のシーンへと導く効果があります。また、時間や場所の経過を象徴的に表現する手段としても活用され、映像に詩的な要素を加えることができます。特に映画やドラマなどの創造的な映像作品で重要な役割を果たしています。
2. アイズマッチ (Eyeline Match)
登場人物の視線の方向と、次のショットで示される被写体との関係性を維持する編集技法です。例えば、人物が何かを見上げるショットの次に、その視線の先にある対象(建物の上層部など)を見せることで、空間的な連続性を保ちます。この技法は、観客に自然な視覚的流れを提供し、シーンの空間的理解を助けます。特に対話シーンや反応ショットでは、登場人物間の視線の方向性を正確に合わせることで、会話の自然さとシーンの一貫性を維持することができます。また、サスペンス要素を作り出す手段としても効果的で、観客の期待感を高めることができます。
3. スクリーン・ディレクション (Screen Direction)
画面上での動きの方向性を維持する原則です。例えば、左から右に移動する人物は、カットが変わっても同じ方向に移動し続けるように撮影・編集する必要があります。この一貫性が破られると、観客は空間的な混乱を感じる可能性があります。特に追跡シーンや移動シーンでは、この原則を守ることで、アクションの連続性と空間の理解しやすさを確保できます。また、対話シーンでも、登場人物の向きや位置関係の一貫性を保つことで、会話の流れを自然に見せることができます。撮影前の綿密なプランニングと、編集時の注意深いチェックが必要です。
4. プロップ・コンティニュイティ (Prop Continuity)
小道具や衣装、メイク、ヘアスタイルなどの一貫性を管理することです。同じシーンを複数回に分けて撮影する場合、これらの要素が各テイク間で一致している必要があります。例えば、グラスの中の飲み物の量、たばこの長さ、服のしわや汚れの位置などを細かく記録し、再現します。このために、スクリプターやコンティニュイティ・スーパーバイザーが詳細な記録と写真撮影を行い、シーン間の整合性を確認します。特に複数日にわたる撮影や、シーンの順番を入れ替えて撮影する場合には、より慎重な管理が必要となります。
5. タイム・コンティニュイティ (Time Continuity)
物語内での時間の流れの一貫性を維持することです。シーンの時刻設定、日の出や日没、季節の変化、時計の表示など、時間に関する要素を適切に管理します。例えば、夕暮れのシーンを撮影する場合、実際の撮影時間は限られているため、照明や色調整を駆使して時間帯の統一感を出す必要があります。また、フラッシュバックやフラッシュフォワードなどの時間操作を行う際にも、観客が混乱しないよう、視覚的な手がかりを適切に配置することが重要です。長編作品では、物語全体を通じての時間の整合性も考慮する必要があります。