動画・映像制作用語
【デプスオブフィールド-被写界深度】
D
depthoffield
被写界深度とは、レンズを通してピントが合っているように見える範囲のことです。この範囲は、絞り値、レンズの焦点距離、被写体までの距離によって変化します。
絞り値
絞りを絞る(F値を大きくする)ほど、被写界深度は深くなり、背景や前景もクリアに写ります。逆に、絞りを開く(F値を小さくする)ほど、被射界深度は浅くなり、背景がボケて被写体を際立たせることができます。
レンズの焦点距離
望遠レンズは被写界深度が浅く、広角レンズは被写界深度が深くなる傾向があります。
撮影距離
被写体に近づけば近づくほど、被写界深度は浅くなります。
被写界深度を調整する理由
背景をぼかして被写体を際立たせる: ポートレート撮影などで、人物を背景から浮き上がらせて印象的な写真にすることができます。
全体にピントを合わせて奥行きを出す: 風景写真などで、前景から背景までをクリアに写し、奥行きのある写真にすることができます。
被写界深度の活用例
ポートレート: 背景をぼかして人物の顔に焦点を当てる
風景写真: 前景から背景までをクリアに写し、奥行きを出す
マクロ撮影: 被写体に近づいて撮影し、背景をぼかして被写体を際立たせる
被写界深度を調整する際の注意点
絞りすぎると回折現象が発生する: 絞りすぎると、光が回折現象を起こし、画像が少しぼやけることがあります。
被写体との距離によって、必要な絞り値が変わる: 被写体との距離によって、同じ絞り値でも被写界深度は変化します。
被写界深度を効果的に活用することで、より表現豊かな写真撮影が可能になります。
【関連用語】
1. F値(絞り値)
レンズの開放度を示す数値で、被写界深度に直接影響を与える要素です。F値が小さい(例:F1.4)ほど絞りが開き、被写界深度が浅くなり、背景のボケが大きくなります。逆にF値が大きい(例:F16)ほど絞りが絞られ、被写界深度が深くなり、広い範囲にピントが合います。ポートレート撮影では小さいF値で背景をぼかし、風景撮影では大きいF値で全体にピントを合わせるなど、表現意図に応じて使い分けます。最新のデジタルカメラでは、撮影後にF値を変更できる機能も登場しています。
2. ボケ味
ピントの合っていない部分の画質や表現のことです。被写界深度と密接に関係し、レンズの特性によって異なる質感のボケが生まれます。円形の絞りを持つレンズでは丸いボケ(玉ボケ)が、多角形の絞りでは角張ったボケが生まれます。特に夜景撮影や光源のある場面では、ボケの形状や質感が作品の雰囲気に大きく影響します。高級レンズほど美しいボケ味を実現できることから、レンズ選びの重要な要素となっています。
3. フォーカルプレーン
実際にピントの合う平面のことです。被写体までの距離と平行な面上に形成され、この面から前後に離れるほどボケが大きくなります。特に望遠レンズや開放絞りでの撮影時は、フォーカルプレーンが非常に薄くなるため、正確なピント合わせが重要になります。人物撮影では、通常、目にフォーカルプレーンを合わせ、表情をクリアに捉えることが基本とされています。
4. フォーカスプル
撮影中にピントを意図的に変更する技法です。被写界深度を活用して、注目してほしい被写体を順番にフォーカスすることで、視聴者の注意を誘導します。例えば、手前の物体から奥の人物へとピントを移動させることで、ストーリーの展開や感情の変化を表現できます。最近では、電動フォーカスシステムを使用して、なめらかなフォーカス移動を実現することが一般的です。
5. ハイパーフォーカル距離
特定の絞り値とレンズ焦点距離において、最も効率的に被写界深度を活用できる撮影距離のことです。このポイントにピントを合わせることで、実質的な被写界深度を最大限に確保できます。風景写真や街頭スナップなど、広い範囲にピントを合わせたい場合に重要な概念です。デジタルカメラでは、内蔵のコンピューターがこの距離を自動計算することも可能ですが、創造的な表現のために手動で制御することも多くあります。