動画・映像制作用語
【ディゾルブ】
D
dissolve
ディゾルブは、映像編集における最も基本的な視覚トランジション(場面転換)技法の一つです。あるショットから次のショットへと移行する際に、最初の映像が徐々に透明になっていき、それと同時に次の映像が徐々に現れてくる効果を指します。この過程で、二つの映像が一時的に重なって見える状態が生まれます。
ディゾルブは、オーバーラップ(OL)とも呼ばれ時間の経過や場面の自然な流れを表現する際によく使用されます。
例えば、「その日の朝から夕方まで」という時間の経過を表現する際に、朝の風景から夕暮れの風景へとディゾルブで転換することで、滑らかな時間の推移を視覚的に伝えることができます。また、回想シーンへの移行や、物語の展開における柔らかな場面転換としても効果的です。
技術的説明
技術的には、二つの映像のオパシティ(不透明度)を相反するように変化させることで実現します。最初の映像が100%から0%へと変化する間に、次の映像が0%から100%へと変化していきます。このトランジションの長さは、演出意図に応じて調整することが可能で、ゆっくりとしたディゾルブは穏やかな雰囲気や夢幻的な効果を生み出し、比較的速いディゾルブは場面転換を自然に見せながらもテンポよく進行させる効果があります。
効果
ディゾルブは、カットという直接的な場面転換やワイプなどの他のトランジション効果と比べて、より柔らかく穏やかな印象を与えるため、ドラマティックな演出や感情的な場面での使用に適しています。ただし、過度な使用は作品の視覚的リズムを損なう可能性があるため、演出意図に応じて適切に使用することが重要です。
【関連用語】
1. クロスフェード
音声分野におけるディゾルブに相当する技法です。あるサウンドトラックから別のサウンドトラックへと移行する際に、最初の音が徐々にボリュームを下げながら消えていき、同時に次の音が徐々にボリュームを上げながら現れてくる効果を指します。場面転換時の唐突さを避け、自然な音の流れを作り出すために使用されます。音楽の切り替えやアンビエンス(環境音)の転換、ナレーションの切り替えなど、様々な場面で活用されています。
2. フェードアウト
映像や音声が徐々に消えていく効果です。映像の場合は画面が徐々に黒や白などの単色に変化し、音声の場合は徐々に音量が下がって無音になっていきます。シーンの終わりや作品の終了時によく使用され、物語や内容に締めくくり感を持たせる効果があります。特に感動的なシーンの後や、重要な場面の余韻を残したい時に効果的です。
3. フェードイン
フェードアウトとは逆に、黒や白などの単色から徐々に映像が現れる効果、あるいは無音から徐々に音が大きくなっていく効果です。作品やシーンの開始時によく使用され、新しい場面への導入を滑らかに行う役割があります。朝の始まりや、新しいシークエンスの開始、夢から目覚めるシーンなど、状況の始まりを表現する際に効果的です。
4. オーバーラップ
二つ以上の映像や音声を重ね合わせる技法の総称です。ディゾルブもオーバーラップの一種と考えられます。映像の場合、複数の画面を同時に表示したり、一つの映像に別の映像を重ねたりする効果全般を指します。夢想シーンや回想シーン、複数の出来事の同時進行を表現する際などに使用されます。
5. スーパーインポーズ
主に文字やテロップを映像に重ねる技法です。オーバーラップの一種とも言えますが、より具体的には情報を付加する目的で使用されます。テレビ番組での人物紹介テロップや場所の説明テキスト、映画のオープニングクレジットやエンドロールなどがこれにあたります。ディゾルブと同様に透明度を調整して表示することが一般的で、映像の視認性を保ちながら必要な情報を提供します。