動画・映像制作用語
【ENG】
E
eng
映像制作業界では、ニュース取材に限らず、ドキュメンタリーや情報番組、バラエティ番組、企業PRビデオなど、様々な制作現場で機動的な撮影を行うチームを「ENG」と呼ぶようになりました。これは日本独自の用語の発展と言えます。
ENG はElectronic News Gathering の略
フィルム撮影時代では取材先から戻って現像、編集する時間が必要でしたが、ハンディなビデオカメラとポータブル録画装置の発明によって、取材現場でニュースの収集がコンプリートすることから、こう名付けられました。
1970年代にアメリカで導入され、日本やヨーロッパなどでも広く採用されるようになりました。
日本独特の用語「イーエヌジー」
ENGは、もともとテレビニュース取材のために開発されたシステムでしたが、日本では独自の発展を遂げました。
1970年代後半から80年代にかけて、ニュース取材だけでなく、テレビ番組の制作現場でもビデオカメラによる撮影が一般的になっていきました。その際、ニュース取材で培われたENG機材による機動的な撮影手法が、番組制作にも応用されるようになったのです。
この流れの中で、「ENG」という言葉は当初の「電子機器による報道取材システム」という意味から、より広く「ビデオカメラによる撮影システムとそれを運用するスタッフ」を指す用語として使われるようになりました。例えば、「ENGを2班手配する」「ENGロケ」といった使い方が定着しました。
そして映像制作業界では、ニュース取材に限らず、ドキュメンタリーや情報番組、バラエティ番組、企業PRビデオなど、様々な制作現場で機動的な撮影を行うチームを「ENG」と呼ぶようになりました。これは日本独自の用語の発展と言えます。
【関連用語】
1. EFP(Electronic Field Production)
スタジオ外での計画的な撮影を指す用語です。ENGが速報性を重視するのに対し、EFPはより高品質な映像制作を目的としています。ドキュメンタリーや情報番組の企画コーナー、CMなどの撮影で採用される制作スタイルです。通常、複数のカメラや照明機材、音声収録機材を使用し、事前の下見や機材のセッティングに時間をかけることができます。撮影スタッフも多く、ディレクター、カメラマン、照明技師、音声技師などが連携して作業を行います。高画質・高音質な映像制作が可能で、編集作業にも十分な時間を確保できる特徴があります。
2. ワイヤレスマイク(Wireless Microphone)
ENG取材で多用される無線式のマイクロフォンシステムです。インタビューやリポートなど、移動しながらの音声収録に適しています。送信機と受信機のセットで構成され、カメラに直接音声を送ることができます。デジタル方式の採用により、高音質な収録と安定した通信が可能です。また、複数チャンネルの同時使用や、混信防止機能なども搭載されており、様々な取材現場での使用に対応しています。
3. ゲインコントロール(Gain Control)
暗所での撮影時に映像信号を増幅する機能です。ENG取材では、照明機材を使用できない場面も多いため、カメラの感度を電子的に上げる必要があります。ただし、ゲインを上げすぎるとノイズが増加するため、適切な設定が重要です。最新のENGカメラでは、高感度センサーとノイズリダクション技術の組み合わせにより、より清潔な映像が得られるようになっています。緊急ニュースや夜間の取材など、厳しい撮影条件下での重要な機能として活用されています。
4. ガンマイク(Shotgun Microphone)
風切り音を防ぐためのウインドスクリーンを装着 特にニュース取材では、インタビューや現場音の収録に不可欠なマイクとして位置づけられています。緊急取材や一人取材でも素早いセッティングが可能で、安定した音声収録を実現します。最新のモデルでは、デジタル処理による高音質化や、ノイズ低減機能なども搭載されています。
5. サブカメラ(Sub Camera)
固定設置による省人化も可能。特にニュース取材では、予期せぬ事態への対応や、編集時の映像選択の幅を広げる重要なツールとなっています。タイムコード同期により、メインカメラとの連携も容易です。バッテリー駆動で長時間の撮影が可能で、メモリーカードによる記録で素早い映像確認も可能です。