動画・映像制作用語
【グレーディング】
G
grading
「(カラー)グレーディング」とは、映像の色調や明るさ、コントラストなどを調整し、作品の雰囲気や印象を大きく変える作業のことです。
シネマティック動画を標榜する動画クリエーターには、マストアイテムとなっているグレーディングですが、過度な調整については賛否があります。
グレーディングの目的
映像の雰囲気作り
温かみのある雰囲気、クールな雰囲気など、作品の世界観に合った色調に調整します。
画質の向上
撮影時の照明条件やカメラの設定によって生じた色ムラやノイズなどを修正し、画質を向上させます。
統一感のある映像に
複数のシーンで撮影された映像を、統一感のある色調に調整します。
印象的なシーン作り
特定のシーンに注目を集めるために、色調を強調したり、逆に抑えたりします。
グレーディングで調整できる項目
色温度(Color Temperature)
赤みがかった暖色系から青みがかった寒色系まで、色温度を調整することで、時間帯や季節感を表現できます。
彩度(Saturation)
色の鮮やかさを調整します。彩度を下げると落ち着いた印象に、上げると華やかな印象になります。
コントラスト(Contrast)
明暗の差を調整します。コントラストを高くすると、メリハリのある印象に、低くすると柔らかい印象になります。
明るさ(Exposure)
全体的な明るさを調整します。
色相(Hue)
色の基調となる色を調整します。
ガンマ(Gamma)
明暗のバランスを調整します。
ハイライト/シャドウ(Highlights/Shadows)
明るい部分と暗い部分の細かな調整を行います。
ミッドトーン(Midtones)
中間の明るさの部分の調整
グレーディングに適した撮影フォーマット
1. 色深度
10bit以上: グレーディングの自由度が格段に上がり、より滑らかな色調の調整が可能になります。
8bit: 一般的な動画ファイルの形式ですが、色深度が浅いため、グレーディングの幅が狭まります。
2. 色空間
Log: カメラ内で画像処理を行い、広いダイナミックレンジを記録する形式です。グレーディングの柔軟性が高く、ハイライトやシャドウの調整に優れています。
Rec.709: 一般的な動画の色空間ですが、Logに比べるとダイナミックレンジが狭く、グレーディングの自由度が低い場合があります。
3. コーデック
ProRes: 高画質で編集に適したコーデックです。特にApple製品との親和性が高く、Final Cut Pro Xなどではネイティブに扱えます。
DNxHR: Avid Media Composerとの親和性が高く、プロフェッショナルな映像制作でよく利用されます。
H.264: 汎用性の高いコーデックですが、圧縮率が高いため、画質の劣化が気になる場合は避けた方が良い場合があります。
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1. カラーホイール
カラーホイールは、色相、彩度、明度を調整することで、特定の色を強調したり、全体の雰囲気を変えたりするツールです。直感的に操作でき、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
色相環を用いて、色を視覚的に把握できる
色の三要素を直感的に調整可能
特定の色を強調したり、抑えたりするのに便利
2. トーンカーブ
トーンカーブは、明るさの分布をグラフで表し、細かい調整を行うツールです。ハイライト、シャドウ、ミッドトーンなどを個別に調整することで、より繊細な表現が可能になります。
明るさの分布を視覚的に把握できる
ハイライト、シャドウ、ミッドトーンを個別に調整可能
コントラストや明るさを細かく調整できる
3. ベクトルスコープ
ベクトルスコープは、色の分布を視覚的に確認するツールです。色相と彩度の関係を2次元グラフで表示し、色バランスの調整に役立ちます。
色の分布を視覚的に確認できる
色のバランスを調整するのに便利
色の偏りを検出できる
4. 波形モニター
波形モニターは、映像の明るさの分布を波形として表示するツールです。露出の過不足や、白飛び、黒つぶれなどを確認し、明るさの調整に役立ちます。
映像の明るさの分布を視覚的に確認できる
露出の過不足を検出できる
白飛びや黒つぶれを防ぐことができる
5. ヒストグラム
ヒストグラムは、映像の明るさの度数分布をグラフで表示するツールです。波形モニターと同様、露出の確認や調整に役立ちます。
映像の明るさの分布を数値的に確認できる
露出の過不足を検出できる
白飛びや黒つぶれの割合を把握できる