動画・映像制作用語
【実景】
J
jikkei
実景とは、ドラマや映画のシーンの中で、出演者以外の場所や風景を指します。具体的には、街並み、自然風景、室内など、物語の舞台となる背景となる部分です。実景は、物語の世界観を表現し、視聴者にリアリティを与える上で重要な役割を果たします。
実景の役割
世界観の構築: 実景は、作品の時代背景、地域、雰囲気などを視聴者に伝える重要な要素です。例えば、古都の街並みは歴史ドラマ、近代的な高層ビルはSF映画といったように、物語の世界観を視覚的に表現します。
リアリティの演出: 実在の場所を撮影することで、作品にリアリティを与え、視聴者を物語の世界に引き込むことができます。
物語の進行を助ける: 実景は、物語の進行に合わせて変化したり、新たな情報を提供したりすることで、物語を推進させる役割も担います。
実景の選び方
実景を選ぶ際には、以下の点を考慮する必要があります。
脚本との整合性: 脚本に書かれている設定や雰囲気に合った場所であるか。
撮影許可: 私有地や公共の場所など、撮影許可が必要な場合は事前に手続きを行う必要があります。
アクセス: 撮影機材やスタッフの移動が容易な場所であるか。
天候: 外での撮影の場合、天候に左右されるため、予備の撮影場所を確保しておくことも大切です。
予算: ロケーション費用や交通費など、予算内で収まる場所であるか。
実景の撮影
実景の撮影では、以下の点に注意する必要があります。
時間帯: 時間帯によって、同じ場所でも全く異なる雰囲気になります。
天候: 天候は、作品の雰囲気を大きく左右します。
季節: 季節によって、植物の生長や建物の様子が変化するため、物語の季節に合った場所を選ぶ必要があります。
構図: 実景をどのように画面に収めるか、構図も重要な要素です。
実景とセットの使い分け
実景とセットは、それぞれ異なる特徴を持っています。
実景: リアリティがあり、物語の世界観をより深く表現できる。
セット: 自由に設計できるため、理想的な空間を再現できる。
多くの場合、実景とセットを組み合わせて使用することで、より豊かな表現が可能になります。
【関連用語】
1. ロケーションハンティング
実景撮影のための撮影場所を探す作業です。脚本やイメージに合った場所を探し、撮影の許可取得や実現可能性の確認を行います。考慮すべき要素として、場所の雰囲気、日照条件、音環境、電源確保、駐車スペース、待機場所、トイレなどの設備面、地域住民への配慮などがあります。また、季節や時間帯による景観の変化、天候による影響、交通アクセスなども重要な検討項目です。現地での詳細な写真撮影や測量も行い、撮影計画の基礎資料を作成します。
2. アンビエントサウンド
実景撮影地の自然な環境音のことです。鳥の声、風の音、波の音、街の喧騒など、その場所特有の音響環境を指します。後の音声編集で必要となるため、撮影時に別途収録することも多くあります。また、撮影時の不要な環境音(航空機、工事音など)を避けるための時間帯設定も重要です。実景の臨場感を高めるために、これらの環境音を効果的に活用することが求められます。
3. スカウティング
実景撮影前の下見作業です。監督、撮影監督、美術監督などの主要スタッフが現地を確認し、具体的な撮影プランを立てます。カメラポジション、照明の配置、セットの追加、美術的な調整点などを検討します。また、日の出・日の入りの時間やその方向、天候による影響なども確認します。この段階で必要な許可申請や地域との調整事項も明確にし、本番に向けての準備を進めます。