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動画・映像制作用語

【完パケ】

K

kanpake

「完パケ」とは「完全パッケージ」の略語で、テレビ・ラジオ放送やPRビデオなどの、納品が可能な状態に完全に仕上がった番組や映像コンテンツを指す業界用語です。

テレビ放送の黎明期から使われ始めたと言われています。当時、番組制作はビデオテープを使用しており、編集や音声付け、テロップ挿入などの作業を終えた「完成したパッケージ(テープ)」という意味で「完パケ」と呼ばれるようになりました。


完パケの状態とは

  • 映像編集が完了している

  • 音声処理(MA)が完了している

  • テロップやクレジットが挿入されている


実務での使用例


「この番組、いつ完パケになる?」

「来週の放送分、まだ完パケじゃないんです」

「完パケを局に納品した」

といった具合に使われます。


また、制作進行表などでは「完パケ日」という形で、番組が完全に仕上がる期限を示すためにも使用されます。特にテレビ局では、放送日に対して完パケ日がいつなのかが重要な管理項目となっています。


デジタル化が進んだ現在では、物理的なテープパッケージは減少し、データファイルでの納品が増えていますが、「完パケ」という言葉は依然として広く使われています。完全に放送・配信可能な状態に仕上がったコンテンツを指す用語として定着しているためです。


近年では、放送だけでなく、ウェブ動画やストリーミングコンテンツの制作現場でも「完パケ」という言葉が使用されています。例えば、YouTubeチャンネルの運営者が「今週の動画の完パケができた」というように使うこともあります。


一方で、生放送番組の場合は「完パケ」という概念は当てはまりません。また、ニュース番組などでは、放送直前まで内容が更新される可能性があるため、完全な「完パケ」状態を作ることは稀です。


テレビやラジオの公開録画(録音)などで、生収録した素材が、後で編集や音声を加えたりせずに、ほぼそのなま放送できる状態で収録することを「完パケでいくよ」と言ったりもします。


このように「完パケ」は、日本の放送業界から生まれ、デジタル時代になっても残り続けている実用的な業界用語といえます。それは、この言葉が単なる「完成品」以上の、放送や配信に必要な全ての要件を満たした状態を簡潔に表現できる便利な用語だからでしょう。


テープ時代の名残を持つ言葉でありながら、現代のデジタルコンテンツ制作の現場でも、品質管理や進行管理の重要な指標として機能し続けています。

完パケ

​【関連用語】

1. オフライン編集(Offline Editing)


完パケに至るまでの仮編集工程を指します。低解像度のプロキシデータを使用して編集を行い、映像の構成や尺を決定していきます。この段階では素材の選定やカット割り、ナレーションの構成などの作業が中心となります。演出意図を反映させながら、作品の骨格を作り上げていく重要な工程です。クライアントチェックやディレクターの確認を経て、作品の大まかな形を決定します。完パケに向けて必要な素材や追加撮影の有無も、この段階で判断されます。最終的なオンライン編集に移行する前の重要な準備段階として位置づけられ、作品の質を大きく左右する工程となります。

現在こうした工程を維持しているのは大手の、放送局納品をするプロダクションであり、多くが仮編集というプロセスを経ずに編集を行っています。



2. マスター(Master)


完パケとして納品される最終的な映像素材を指します。かつては文字通りテープメディアでしたが、現在ではデジタルファイルとして納品されることが一般的です。放送用マスターには厳密な品質基準が設けられており、映像フォーマット、音声レベル、タイムコードなど、細かな規定を満たす必要があります。また、将来の再利用や保管を考慮して、高品質なフォーマットで保存されます。完パケ後の修正や改変を防ぐため、厳重な管理下で保管され、複製の際も品質管理が徹底されます。



3. 白完パケ(White Package)


テロップや字幕を含まない状態の完パケ映像を指します。国際展開や再編集を見据えて作成され、後から異なる言語のテロップを追加することができます。特に海外展開を予定している作品では、この形式での完パケ保存が一般的です。また、素材の二次利用や再編集の際にも、テロップのない状態があることで、より柔軟な対応が可能になります。音声も同様に、ナレーションと背景音を分けて保存することで、言語対応や再利用の際の利便性を高めています。



4. 納品フォーマット(Delivery Format)


完パケ映像の提出形式を指します。放送局やプラットフォームごとに定められた技術仕様に従って、適切なフォーマットで納品する必要があります。映像コーデックフレームレートアスペクト比、音声チャンネル数、ビットレートなど、細かな技術仕様が規定されています。また、ファイル名の付け方や、メタデータの記述方法なども、納品先のルールに従う必要があります。近年では、ストリーミング配信用の複数ビットレート対応など、新しい要件も増えています。

 

 

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