動画・映像制作用語
【見切れ】
M
mikire
本来映すべきではないものが映ってしまう場合と、逆に本来映すべきものが画面から外れてしまう両方の意味で使用されます。撮影現場では日常的に使用される専門用語です。
あるチームの集合カットを撮ろうとしているカメラマン
「すみません、上手に立っているあなた、左肩が見切れているから、一歩右に寄ってください」
これはつまり、左腕あたりがフレームからはみ出ていて映らないという意味。
「そこのAD! 見切れているよ!」
と言われたら、アシスタントディレクターがフレームに入っていて映ってしまうという意味。
「みきれ(見切れ)」は、同じ言葉が正反対の意味に使われる、とても不思議な用語です。
この業界に入りたての新人が、先輩に聞くのが怖くて人知れず悩む言葉のひとつです。
「中途半端に映っていること」と理解するとすんなり覚えられます。
【関連用語】
1. セーフティ(Safety)
見切れを防ぐために、余裕を持って広めに画角を設定することを指します。特にダンスや激しい動きのある場面、生放送での撮影時に重要視されます。4K撮影での2K書き出しを前提とした場合も、セーフティを意識した構図取りが基本となります。ただし、広く撮りすぎると演出意図が薄まる可能性があるため、適度なバランスが求められます。また、アスペクト比の異なる媒体への展開を考慮する場合にも、セーフティは重要な概念となります。
2. タイト(Tight)
被写体を敢えて大きく、ギリギリに捉える構図のことです。「タイトに」という指示で、被写体の一部が見切れることを想定した撮り方を指します。表情やディテールを強調したい場合や、演出的な効果を狙う場合に使用されます。特にドラマやCMなど、計算された演出が必要な場面で使用される手法です。見切れをコントロールする技術が必要です。
3. ルーズ(Loose)
被写体に余裕を持たせた広めの構図を指します。「ルーズめに」という指示で使われ、見切れを避けつつ、被写体の周囲の空間も含めて撮影します。バラエティ番組や情報番組など、予測不能な動きが発生する可能性がある場面で重宝されます。また、ポストプロダクションでのサイズ調整や、複数メディアへの展開を考慮する際にも有効です。
4. ワイド(Wide)
被写体を含む空間全体を広く収める構図です。「ワイドで」という指示で、見切れを避けながら場面の全体感を捉えます。特にロケーションでの撮影や、多人数が登場するシーンで使用されます。状況説明や場面転換、エスタブリッシングショットとしても重要な役割を果たします。ただし広すぎる画角は緊張感を失う可能性があるため、適度な設定が必要です。
5. フルショット(Full shot)
人物の全身を余裕を持って収める標準的な構図です。「フルで」という指示が一般的で、見切れを避けることが基本となります。ダンスや演技、スポーツなど、全身の動きを見せる必要がある場面で多用されます。人物の頭上から足元まで適度な余白を持たせることが基本で、動きを想定した余裕の取り方が重要になります。編集のカットインポイントとしても使いやすい構図として重宝されます。