動画・映像制作用語
【VR動画】
V
vrdoga
「VR動画」のVRとは、ヴァーチャルリアリティの略語で、日本語では「仮想現実」と訳されますが、VR動画と言った場合は少し複雑な概念であることが、意外と看過されています。
VR動画が実際に採用する映像制作技術は、現時点で3通りあります。
A. 3DCGによって創作されたCG空間を、視聴者が任意に空間内を移動し、視野を選択しながら視聴できます
B. 360°カメラによって動画撮影した動画の実写空間を、視聴者が視野を連続的に選択しながら視聴できます
C. 360°カメラによって一定の間隔で複数地点から静止画撮影したデータを使い簡易的な静止画空間を構築し、視聴者は撮影地点を選択して、その地点から任意の方向を見る事ができます
したがって、B. C.では、視聴者は視野の選択は任意ですが、視点については撮影時のカメラ位置に限定されます。
VR動画を視聴する媒体は現時点で2通りです
16:9(FHD)などのスクエアなフレームで切り取った範囲を、視聴者の任意な選択で視聴する
ヘッドマウントゴーグルを使い、視聴者が見たい向きを自然な視野角度で視聴する
期待されているけれど無理なこと
視聴者が動画の世界に入り、完全な意味で(限定されてなく)任意の位置から任意の方向を視るには、その世界空間を完全にデータ化(3DCG化)する必要があり、高品位な画像で表現するためには膨大なデータをリアルタイムにレンダリングする環境が必要になりますので、現時点では実現できません。
現時点で「VR動画」と呼んで差し支えないコンテンツは、限定的な世界を3DCGによって作成したものです。
B.によるVR動画は、視聴者によって見るものが違うため、ストーリーの構築ができません。
C.によるVRは、静止画世界をスワイプしているだけですので、動画とは言えません。
【関連用語】
1. AR(Augmented Reality:拡張現実)
現実世界に仮想の情報を重ねて表示する技術です。スマートフォンやタブレットなどのデバイスを通じて、現実世界にデジタルコンテンツを付加することで、より豊かな体験を提供します。
例:
スマートフォンのカメラで街を映すと、建物の情報や周辺の店舗が表示される。
ゲームアプリで、現実世界にキャラクターが登場し、一緒に遊ぶことができる。
2. MR(Mixed Reality:複合現実)
現実世界と仮想世界を融合し、両者が相互作用する技術です。ARとVRの中間的な存在であり、現実世界に仮想オブジェクトを配置し、それらとインタラクトすることができます。
例:
MRヘッドセットをかけると、目の前に仮想のスクリーンが現れ、その上で作業を行うことができる。
設計図をMRヘッドセットで見ながら、仮想の建物を組み立てていくことができる。
3. XR(eXtended Reality:拡張現実)
VR、AR、MRといった現実と仮想を融合する技術の総称です。これらの技術を包括的に表す言葉として使用されます。